刀剣男士を庇って死んだら来世もろくな物じゃ無かったし前世の記憶残ってるしやり直しって出来ますか？弐【刀剣乱舞】

記憶５４個目 ページ9

山姥切side




　喧嘩を売るなと言われても、売った覚えが無い。


　唯、今を生きる者に過去など必要無いと言った迄だ。


　俺にそれを気付かせてくれたのは、主。ブラック本丸とか言われている所から助けてくれた、大切な人。




『……うーむ…卑屈な所さえ無ければねぇ』


「別に…俺には之がお似合いだ」


『むぅ………そぉい！』


「！？え、そ、それを返せ！…」


『こんな薄汚い布、切国には必要無い…ね？』



　布を取られ、抱き着かれた。


　困惑したが、確かな温もりに安心している自分が居た。


　今迄の冷たい、作った温かさとは違う。




『ね？』


「…分かった。あんたと話す時位は、外してやる」


『むっふふー、言ったねぇ？…これは有難く洗濯させて頂きまーす』



　その笑顔は俺と対照的で、主との差を見た。


　…其処に惚れた。憧れは、恋になると気付かされた。



　……だが、




『また前の本丸の奴らがさ…』


『いい加減新しい主さんで良いじゃんねぇ？』



　口を開く度に過去の話。


　…駄目だ。こんなのでは、主が、主の心が全て彼方に絡め取られてしまう。


　俺達の主なのに、俺が初期刀なのに…主は知らない初期刀の話をする。



『加州がさ？…あ、昔の方ね！』


「分かってる」




　此の本丸に主が居て主は居ない。


　此の本丸に今は存在して過去は存在しない。



　此の本丸に今世の刀剣男士は要る、前世の刀剣男士は…要らない。過去は振り返ってはいけない。




『こっちの切国は可愛い、本当に可愛い…』


「何を言っているんだ…」



　此処にしか、切国は居ない。

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