夏の終わりの空模様 afterstory (ページ8)

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「あるにあ！」

三人が駆け寄る。
ジャンクがあるにあの腕へと手を伸ばす。

「触らないで！」

あるにあはそれを止める。

「たぶん、毒が塗ってあ、る」

痛そうに肩を押さえる。

「客席に弓を持っている人が......！」

ユジナはそいつの特徴を審判に教える。

「身長は兄上と同じぐらい。髪は短くてこの国では珍しい赤。弓に緑の印がついています！」
「まさか!?」

ユジナは目が良い。言っていることは間違いないだろう。
あるにあとアイルはその特徴を持った人物と会った事があるということを思い出す。
そして、緑の印。そう言われて思いつくのは一つ。リズベリア王国の紋様だ。

「敵は短髪の赤髪！リズベリアからの刺客を捕らえよ！」

アイルが大声を張り上げる。
周りにいた兵士達、腕のなる出場者達が一斉に動き出した。
まるで、止まっていた時間が急に動き出したかのように。

「救急箱持ってきました！」

審判が走って向かってくる。
救急箱から包帯を取り出し、アイルがあるにあの腕に巻きつける。

「とりあえず、血を止めるだけの応急処置だ。」
「毒は大丈夫なんですか？」

ジャンクがアイルに尋ねる。

「あるにあには毒を分解する毒が体の中にあるから大丈夫」
「毒を分解する毒？」
「あぁ。前に僕があるにあに飲ませたやつだ。単体で飲むと死に至るやつ」

アマティアスを脱獄した後の、あれのこと。
ジャンクは合点がいった。

「毒よりも単純に腕が痛い。ちょっとめまいもしてきた。」

地面に座ったままのあるにあ。
さっきより痛みが和らいだのか顔色が少しだけ良い。

「めまいは副作用。しばらく続くから気分が悪くなったらすぐに言って。」
「うん……。」

負傷したあるにあの手当をするアイル達がいる一方で、観客席では怒涛の追いかけっこが始まっていた。

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