夏の終わりの空模様 afterstory (ページ4)

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最初の一週間は見学期間。仕事の仕方や謁見の時の対応などなど、見慣れているアイルとは違い、あるにあにとっては苦痛で2日で嫌になってしまっていた。
今日は隣国の王が訪ねてくる日。
ちなみにだが、隣国、リズベリア王国とこの国とは仲が悪く、戦争などはしていないが貿易などで競争をしている。もちろん、王様同士の仲もよろしくない。

リズベリア王が赤髪の従者を連れて部屋に入ってくる。

「久しぶりだな。リズベリア王よ。会えたことを嬉しく思うぞ」
「それは光栄だ。こちらとしても忙しい間をぬってきているのでな。」

2人は笑顔で接しているが目は笑っていない。目に見えない火花がパチパチと飛び散っているようだ。

「こちらの2人は？」

リズベリア王がアイルとあるにあを見る。

「私の息子だ。」
「第一王子、アイルです。」

アイルが軽く会釈する。

「同じく、第二王子あるにあです」

続いてあるにあも。

「そのうちどちらかに王位を渡そうと思っているのだが、どう思う？」
「うーむ……。アイルといったか。私はそちらの子を王に据えるべきだと」
「何故そう考える？」
「アイル王子の方が賢そうだ」

それを聞いて王の表情が曇る。

「あるにあは頭が悪そうだと？」
「そんな事は言っていないだろう。だが早とちりをし過ぎる者が父親ならば子も同じなのではないか？」

リズベリア王はニヤリと笑う。だが

「残念だが、あるにあの育ての親は平民だ。しかも特殊な。もしかするとアイルより優れているかもしれない。それにアイルは確かに賢いが、思っているよりも慎重で頑固だ。アイルが王になっても、あるにあが王になろうとも、この国は栄え続けようぞ。」

我が王は屈しない。反論すると同時に褒めているようにも聞こえる。
それが気に入らなかったのかリズベリア王は

「ふん。せいぜい身の回りに気をつける事だな」

と言って赤髪の従者と共に部屋を出て行った。

「父上……ありがとうございます」

アイルが嬉しそうに言うと、

「彼奴をさっさと部屋から出すために言ったのだ。まぁ、嘘は言っていない」

照れ臭そうにそっぽを向いて言った。

「疲れた。私は休むから後は好きにしろ」

王は奥の寝室の方へと入って行った。
アイルとあるにあは顔を見合わせて小さく笑った後、アイルは王宮内にある図書館へ、あるにあは家へと帰って行った。

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