夏の終わりの空模様 afterstory (ページ18)

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また、あの場所に立っていた。

なんで......？

これが夢なのか、それともこれまでのことが夢なのか。
俺にはわからない。

ただ、目の前に広がる絶望。
もう二度と噛みしめることはないと思っていた、この光景。

なぜ？

体が動かない。
爆発音がした。
守らなきゃ。
一番近くにいるアムムだけでも。

体が動かない。
手も。足も。

夢では守れたのに。

なぁ、カミサマ。
やっぱり、俺は。

俺は

守れないなら

なんのために。

あぁ。
視界が闇だ。

.

息が苦しくて目が覚めた。

ハァハァ、ヒュッ

過呼吸。息の仕方がわからない。

「ラムザさん、ゆっくり息吸って。」

隣であるにあが心配そうにしている。

そんなあるにあの腕を掴む。
わざとじゃなくて、無意識だったのだけど。

「大丈夫。だいじょうぶ」

あるにあは一瞬顔を歪めた。

「ご、めッ......」

ごめんと言葉が出てこない。
手を放す事もできず、俺が落ち着くまでそのままだった。

「落ち着いた？」
「あぁ。ありがとう。」

少し時間がかかったが。

"ヒトゴロシ。"

ッ！

頭の中で再生された一言。
親を知らないなんて嘘だ。
俺は親を捨てて逃げたんだから。
あの、今は無い、スラム街の火事の時。

「ラムザさん？」

俺は。
ずっと逃げ続けている。
忘れる、という選択肢。
それを選び続けている。

......。

「ラムザさん。」

今になって思い出させられたのは、全てが終わったからなのだろうか。

気分が悪い。
吐き気がする。
でもきっと、向き合わなければならないのだろう。

「ラムゾー」

全てが終わったから。
いや、違うな。
全てが始まりを迎えたから、か。

カミサマも厄介なことをしてくれる。

「ラムゾリアン」

悪いことじゃないのかもな。案外。

「ゾリアヌス！」
「んだよ！さっきから。名前変なのに変わってくし」

視線をあるにあに戻すと、怒っていた。
ムスーッという効果音が似合いそうなほどに。

「何だよはこっちのセリフだっての!! 急に黙るし、呼んでも返事しないし!! 心配して損した！」
「す、すまん......」
「元気そうだから別にいいけど。」

見事なまでのツンデレだな。
いっそ清々しい。

「あのさーあるにあ」
「何？」
「アイルさんのとこに連れて行って欲しい。」

「……。はぁ!?」
「もちろん今すぐじゃないよ？」
「そりゃそうでしょ！バカじゃないの!?」

あるにあは一気に詰める。

「いきなり言われたって......」