苦いチョコレート。 ページ41
一度、深呼吸をしてから扉を開けた。
席に彼が座っている。その席へ一直線に向かう。
｢ん？おはよう、大先生…｣
｢昨日はごめん！｣
｢はぇ…何が？｣
｢僕、昨日トントンの時間使わせてもらってたのに先帰ったやんか…。｣
｢あぁ。ええよ別に。頭冷やしに帰ったんやろ？俺もちょっと冷たすぎたなって思ってたし。それに関してはごめん。お互い謝ったし、それでええやんか。｣
そう言って再び机に視線を戻したトントン。
こういう時に、さっぱりしている彼には本当に頭が上がらない。
｢うん…。｣
｢何や、まだなんかあるんか？そういえば、昨日止まってた問題どうなったん。家帰って分かったんか？｣
｢いや、わかってないです…｣
｢…見してみ。｣
俺の友人は、本当に良い奴だ。たまに悪魔みたいな笑い声出すけど、それでも親身になってくれる辺りは根っこの部分が優しいからなのだろう。
朝礼までの時間で、分からなかった問題を無事に理解することが出来た。
授業のノートを取りつつ、入試対策をする毎日。
一番後ろの席はこんな時に役立つ。
入試までのミニカレンダーが捲られ、ついに前日。明日に控えた入試に、体が重くなる。
｢はぁ…。明日か｣
｢おうおう、なんや大先生。今更怖気付いたんか？｣
｢…うん。正直めっちゃ怖い｣
｢そんなんみんな一緒や。俺も怖い。でも、今までの頑張りを見せるところや。やるしかないんやで｣
｢せやな。…よし！いける気がするわ。｣
｢おー、そうか。俺も大丈夫な気するから、お互い頑張ろうな。じゃ、帰るわ｣
｢お〜！またな｣
靴箱で彼を見送る。僕は、残ったまま。
靴だけ履き替えて、雲が少しかかった空を見上げる。
大丈夫。頑張ってたんやもん。
｢…あっ、うつくん！ごめんね、待った？｣
｢ううん。今さっき来たとこやから気にせんでいいよ。｣
彼女が靴を履き替えるのを待って、隣に来たのを見て歩き出す。
今日、伝えるんや。
入試が終わったらすぐに卒業考査が始まって、言えなくなる。
明日のこともあって、すこし落ち着かない。
Aちゃんに聞こえないようにそっと息を吐く。
｢…緊張、してる？｣
｢あぇ、あぁ、うん。はは。してる、よ｣
｢私も。ついに明日やもんね｣
｢…うん。明日になってもた｣
幸い、明日の入試で緊張していると捉えられた。
もちろんそっちも緊張してる。
けど、もっと緊張してることあるんよ。
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ちぇる(プロフ) - 白ごまさん» コメントありがとうございます！ (2021年4月19日 19時) (
レス) id: 2136318bfb (このIDを非表示/違反報告)
白ごま(プロフ) - 甘酸っぱい両片思いでもうずっとキュンキュンしてました。完結おめでとうございます！ (2021年4月18日 4時) (レス) id: bba1a3ae28 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇる(プロフ) - �世気�» コメントありがとうございます！ (2021年3月12日 20時) (レス) id: 2136318bfb (このIDを非表示/違反報告)
�� - キュンキュンする（真顔） (2021年3月12日 18時) (レス) id: 86f4624805 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇる(プロフ) - メロンパンさん» コメントありがとうございます！ (2020年12月1日 19時) (レス) id: 2136318bfb (このIDを非表示/違反報告)
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