苦いチョコレート。 ページ34
彼女がバトンを繋ぐためにレーンに出ると、またもや一気に歓声が大きくなる。
｢佐藤さーん！｣｢頑張ってー！｣｢可愛いー！｣
頑張れは許すけど、誰や可愛い言うた奴。軽々しくAちゃんの可愛さを語るな。
僕も負けじと声を張る。
｢Aちゃーん！頑張ってぇー！｣
｢うわうるさ。隣で叫ぶなや…｣
｢何言うとんねん！Aちゃんやぞ！応援するのなんか当たり前じゃ！｣
｢はいはい。もうお前のその言葉聞き飽きとんねん。周りの男共もようやるわ。｣
｢Aちゃんの名前を呼ぶのは癪に障るけど、あんなに可愛かったらそら応援したくなるわな。｣
｢あ、バトン渡るで｣
｢嘘ぉ！Aちゃん、ファイトー！｣
ダルそうに席に座ったままのとんちから視線を移し、もうすぐ目の前を通るAちゃんの名前を呼んだ。
綺麗なフォームで開いていたはずの差が縮められる。真剣な眼差しは真っ直ぐ、前だけを見つめている。
｢うっわ、かっこえ…｣
｢佐藤さん、運動もそこそこ出来るもんな｣
｢…ほんまに、自慢の幼馴染やわ。｣
｢あ、もうすぐ前通るで。｣
｢ほんまや、Aちゃーん！いけるよ！｣
僕がそう叫んだ時、一瞬だけ音が止んで彼女の動きもスローモーションのようになる。
そして、前だけを向いていたはずのAちゃんがこちらを少しだけ見て口を動かした。
｢あ、り、が、と｣
そのまま目の前を歓声の中駆けていく。
へたりと椅子に腰掛け、走り終わった彼女がクラスメイトに声をかけられているのをただ眺める。
｢やっぱり、Aちゃんはかっこよくて可愛い最高な女の子やで。｣
｢はいはい、うちクラスも応援してくれな｣
｢だってどう見てもあれネタに走ってるやん。｣
｢お前が言い出したんやろが！三位までに入れへんかったら男子はポーズ決めながら走ろって｣
｢そうやっけ？覚えてへんわ｣
それはもう、客席に向けてポーズを決めながら走るうちのクラスは笑い声に包まれている。まぁ、最後やねんから楽しんでもええやんな？
その後も難なく進められ、体育祭も無事に終えた。僕たちが学校で出来るような行事はそれこそ、もう卒業式のみとなった。
そして、体育祭後。Aちゃんも僕も、大学受験を控えているため、お互いに距離をとった。
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ちぇる(プロフ) - 白ごまさん» コメントありがとうございます！ (2021年4月19日 19時) (
レス) id: 2136318bfb (このIDを非表示/違反報告)
白ごま(プロフ) - 甘酸っぱい両片思いでもうずっとキュンキュンしてました。完結おめでとうございます！ (2021年4月18日 4時) (レス) id: bba1a3ae28 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇる(プロフ) - �世気�» コメントありがとうございます！ (2021年3月12日 20時) (レス) id: 2136318bfb (このIDを非表示/違反報告)
�� - キュンキュンする（真顔） (2021年3月12日 18時) (レス) id: 86f4624805 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇる(プロフ) - メロンパンさん» コメントありがとうございます！ (2020年12月1日 19時) (レス) id: 2136318bfb (このIDを非表示/違反報告)
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