△河川敷にて。 ページ40
引かれた手は固く結ばれていて、何も言えずについて行く。
河川敷に人はおらず、反射する月が
川の近くという事もあり、少しだけ気温が低くなって過ごしやすい。
そっと地面に腰を下ろすが、互いの距離は開いたまま。
なにを、話せばええんか。
話そうと言うてくれた先輩も、黙り込んだままで特にこれといった話題が見つからない。
俺たちの沈黙を緩和させるように風が吹いた。
横目で先輩を見ると、閉ざされた口が開かれようとしていた。
すっと視線を揺れる月に移すと、一人分開けた先に座る先輩が小さな声で話す。
｢なぁ、ショッピ。恋って、なんなんかな｣
｢恋、ですか。｣
｢うん。私、今まで恋らしい恋したことなかってん。友達も少なかったし。人を好きになるってのがどんなんか分からんかった。｣
｢…はぁ。｣
どこか遠くを見つめたまま話す横顔は、どこかすっきりとしていた。
｢…でも、ショッピが、…翔が入学してきてさ？毎日毎日、迎えに来て。一緒に学校行って。｣
風で揺れるAの髪は軽やかに
まるで、先輩の心情を表しているかのように。
｢翔が、私のこと好きって言った時。正直なんで？って思った。今まで、そんな素振り見せんかったし。小さい子が好きって言うてたから、年上の私なんかーって。｣
まぁ、趣味趣向と好きになる人は違いますからね。小さい子が好きなのは、まぁ。はい。
でも、俺にはやっぱり先輩しかいませんよ。
｢やけど、翔を一番近くで見てて分かったねん。｣
｢はぁ、なにを、ですか。｣
｢私に向ける翔の視線と、私が翔に向ける視線が同じやった。｣
向ける視線が、同じ。
｢翔、私のこと見つめてる時すっごい暖かくてゆらゆらしてるんよ。反射で写った私も同じやったねん。やから、きっとこれは翔の言ってる“好き”と、同じ好きなんやなぁって。｣
難しくて分からへんかもやけど。
とくすくす笑うA。
やっと、やっとや。
届いたん、かな。
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さくら - 下に同じく。説明文で面白いと見た。そして読んで更に面白いと思った。後輩くん好きなんでほんとこの小説神ってます！ありがとうございます！！ (2022年9月20日 17時) (
レス) id: 1fc21789e4 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇる(プロフ) - える＠脅威さんが好きです！さん» 随分古い作品なのにコメントありがとうございます！笑 (2022年3月11日 10時) (レス) id: f71e4746a6 (このIDを非表示/違反報告)
える＠脅威さんが好きです！ - 「リアル後輩がむっつりだったので書きます。ごめんね。」で私は面白いと確信を得た。 (2022年3月11日 1時) (レス) id: 2c1cc6224f (このIDを非表示/違反報告)
ちぇる(プロフ) - RURUさん» ありがとうございます！ (2021年1月20日 8時) (レス) id: 2136318bfb (このIDを非表示/違反報告)
RURU - 好k(昇天) (2021年1月20日 6時) (レス) id: cf91128782 (このIDを非表示/違反報告)
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