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△悪いこと。 ページ39

帰りたくない。

先輩は、Aはそう言った。

咄嗟に、俺自身も帰したくないと思った。

体は勝手に動いていて、先輩の手を引き駆け出していた。

“悪いこと”

そんなん、俺には分からん。

でも、こうやって先輩を攫って夜の町を駆けてること自体が悪いことやと思ってる。

付き合ってもないのに、先輩を縛って俺以外見ないでほしいとまで思ってる。


しばらく走ってから、気づく。

住宅地を通り過ぎ、大きな河川敷が見えた。

スピードはどんどんと緩まり、次第に呼吸が整う。

「しょっ、ぴ…?」

後ろで荒い息を整えようとしている先輩から声をかけられて、(ようや)く振り返る。

「…すみません、先輩。俺、先輩のこと帰したくなくなりました。やから、もうちょっと俺に付き合ってください。」

今日は、一人でいたくない。

そんなわがままを聞いてもらえるやろうか。

荒かった呼吸は整えられ、深呼吸をしている。

息を吐き終えたその時。

「…うん。ええよ」

ぽつりと呟かれた言葉を、ゆっくり、ゆっくりと噛み砕いていく。

噛み砕いて飲み込んだ時、下がりかけていた視線を上にあげる。


真っ直ぐに俺を見つめるAから、目が離せない。

何かを理解したような、含みを持ったそんな瞳で俺の事を見つめる。

掴んでいたはずの手は、繋がれていて。

今度は先輩が俺の手を引く。

「なぁ、座って話そうよ。ええやんね?」

後ろにいた先輩が、隣へ、そして前へと通り過ぎる。

グッと体が引かれ繋がれている手に熱がこもる。

「えっ、せ、先輩?」

一体何が起こってるのか、よく分からん。

なんで、先輩は俺と手を繋いでる?

疑問と熱さと混乱がぐちゃぐちゃと混ざり合って頭の中を占領する。

△河川敷にて。→←○走り抜ける。



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さくら - 下に同じく。説明文で面白いと見た。そして読んで更に面白いと思った。後輩くん好きなんでほんとこの小説神ってます!ありがとうございます!! (2022年9月20日 17時) (レス) id: 1fc21789e4 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇる(プロフ) - える@脅威さんが好きです!さん» 随分古い作品なのにコメントありがとうございます!笑 (2022年3月11日 10時) (レス) id: f71e4746a6 (このIDを非表示/違反報告)
える@脅威さんが好きです! - 「リアル後輩がむっつりだったので書きます。ごめんね。」で私は面白いと確信を得た。 (2022年3月11日 1時) (レス) id: 2c1cc6224f (このIDを非表示/違反報告)
ちぇる(プロフ) - RURUさん» ありがとうございます! (2021年1月20日 8時) (レス) id: 2136318bfb (このIDを非表示/違反報告)
RURU - 好k(昇天) (2021年1月20日 6時) (レス) id: cf91128782 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちぇる | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年10月30日 1時

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