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「あ、出てくれたんすね。」

『え、うん。何?どしたー?』

「いや、なんか声聞きたくなって。」

素直に自分の気持ちを言ってみる。

居ても経ってもいられなくなり、鍵と小銭だけを持って家を出る。

数軒先の先輩の元へと足を進める。

何かしら反応せえへんかな。

『あ、そうなん。』

「はい。…驚かないんすね。」

…ちょっとは、意識してくださいよ。

『別に驚かへんよ。でもまぁ、そんなに私の事好きなんかー。』

知ってると言ったふうに言ってくる先輩に、自分が言ったことに対して顔が熱くなる。

「す、好きっすよ…。揶揄わんとってや…」

どんどんと小さくなる自分の声に嫌気がさすが、先輩は楽しそうに笑っていた。

「はいはい。」


先輩の部屋の電気が付いていることを確認して、驚かすように言ってみる。

『あ、先輩。窓の外見てもらえます?』

「え?うん。でもなんで…」

不思議そうな顔をする先輩が浮かぶ。

途端シャッという音と共に先輩の姿が見える。

お、部屋着かな。かわいい。

パチリと目が合う。

「…え、何してんの。」

ほんまになんで来てんのって顔をする先輩。

『なんか、外出たくなって。思ったより涼しいっすよ。』

外、出てきてくれへんかなあ。なんて淡い期待を胸に先輩を見つつ話す。

「顔見てんのに電話してるのおもろいね。」

楽しそうに笑う先輩。意を決して言葉を吐き出す。

『…先輩、出てきてもらえません?』

「…わかった。」

明らかに頭にはてなが浮かんでいたけど、プツッと切られる電話と閉められたカーテン。

直後電気が消えたことを確認して家の前で待機する。

おじさんの声が聞こえたと思えば、先輩が出てくる。

「…ほんまに出てきてくれたんすね。」

まさか、冗談のつもりで言うたのに。

「外涼しいって言うたんそっちやんか。んで、何?出てきたけど?」

特に用事無かったけど、せっかく出てきてくれたんやし直接話したい。

「ちょっと、散歩しません?そんな遠くまで行かないんで。」

「おっけー。じゃあ行くかー。」

フッ軽やなほんまに。

歩き始めて隣、ではなく数歩後ろにいる先輩は空を見上げて歩いていた。

あ、星出てるんか。よく分からんけど。

ふと、立ち止まる。

すると、気づかなかったのか背中にトンっと衝撃が。

「いたっ…あ、ごめん。前見てなかった」

「いや、俺も急に止まったんで。」

申し訳ないな。

△→←△夜。



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さくら - 下に同じく。説明文で面白いと見た。そして読んで更に面白いと思った。後輩くん好きなんでほんとこの小説神ってます!ありがとうございます!! (2022年9月20日 17時) (レス) id: 1fc21789e4 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇる(プロフ) - える@脅威さんが好きです!さん» 随分古い作品なのにコメントありがとうございます!笑 (2022年3月11日 10時) (レス) id: f71e4746a6 (このIDを非表示/違反報告)
える@脅威さんが好きです! - 「リアル後輩がむっつりだったので書きます。ごめんね。」で私は面白いと確信を得た。 (2022年3月11日 1時) (レス) id: 2c1cc6224f (このIDを非表示/違反報告)
ちぇる(プロフ) - RURUさん» ありがとうございます! (2021年1月20日 8時) (レス) id: 2136318bfb (このIDを非表示/違反報告)
RURU - 好k(昇天) (2021年1月20日 6時) (レス) id: cf91128782 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちぇる | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年10月30日 1時

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