【d!】俺は。【sha】 (ページ26)

今日:6 hit、昨日:2 hit、合計:53,385 hit

あれから。ページ26

高校を卒業し、俺は就職。Aは進学して。

お互いに地元を離れ、一人暮らしをすることに。

週末になればお互いの家を行き来し、月に一度のデート40回目の夜。

俺は、Aを家に呼びまた一日ダラダラと過ごしていた。

｢あーA可愛いなぁ。｣

｢もう、やめてよシャオくん。｣

二人でいつも通り戯(じゃ)れていた。

時刻は二十一時。

そろそろ帰らなきゃと言うAの声で、何回も躊躇(ちゅうちょ)していた言葉を口にする。

｢な、なぁ。｣

｢ん？どうしたん？｣

｢A。｣

俺がいつにも増して真剣な顔をしたからか、一気に空気が変わる。

｢な、なんですか？｣

｢そろそろさ、俺ら。｣

喉がきゅっと締まる。

｢うん？｣

｢そろそろ、一緒に暮らさへんか…？｣

もう、三年経った。就職した俺も、Aも少しは慣れてきたはず。

毎日、Aの顔を見て出社したいし。

帰ったらAがおる生活にしたい。

返事はまだかと下げていた視線を上にあげる。

｢っえ、A？！｣

Aは目に涙を浮かべて俺に抱きついた。

｢もっとはよ言うてよ、アホ…｣

｢ご、ごめんやん。｣

｢卒業した時から暮らしても良かったんやで？｣

少し不機嫌そうな顔をするが、それでも嬉しそうで。

決意して、言うてよかったな。

____

________

____________

________________

____________________

あれから四年。

同棲を始めてからというもの、俺は一層Aが好きになった。

愛ある朝食、弁当、夕飯。

彼女だって忙しいはずなのに、俺のために毎日毎日頑張ってくれた。

大学を卒業し、デザイン会社に勤めて俺よりも慌ただしく過ごしているのも知っている。

だからこそ、今日言わなければならない。

今日は残業だとAからの連絡で、定時に上がれた俺は今日のための準備をする。

被らなかった休日、俺は今日のために一人でジュエリーショップに行き、ペアリングを買った時にメモしていたサイズを店員に言った。

正直、今までで一番ドキドキしている。

緊張で、手の震えが止まらない。

ソファで一人、項垂(うなだ)れる。

もし、想像していた答えじゃなかったら？

なんて、良くない考えが浮かぶがAの笑顔が過(よ)ぎり消える。

玄関から音がする。

ただいま〜と疲れを含んだ声が聞こえる。

机に置いていた箱を持ち、構える。