何か、ご不満でも？ ページ46
***
懐かしい写真を撫で、そっとアルバムを閉じる。
いけないいけない。こんな時に感傷に浸っている場合じゃないわ。
早く片付けて行かないと。
腰を上げようとした時、控えめなノックが鳴り返事をする前に開かれた扉にため息を零す。
『…返事を待ってから開けてくださる？』
gr｢すまない。早く会いたくてな｣
『たった数時間でしょう？あなたはいくつになったんですか…』
gr｢そんな野暮な事は聞くなよ。さぁ、早く行こう！今日は俺たちの日だ！｣
あれから十年以上経ったというのに、まるで無邪気な少年のまま歳をとったグルッペン。彼の手網を持たされている私はいつも困らせられている。
が、周りにはサポートしてくれる仲間がいるため何とかなっている。
『俺たちの日だって、何処に行くつもり？仕事は？』
gr｢あ、いや…。終わらせてはきたぞ？｣
『ふぅん。なら、トントンの所に行きましょう。』
gr｢それはやめてくれ！なぁ、いいじゃないか今日くらい！折角の記念日なんだ！｣
駄々を捏ねるいい歳したおじさんは見たくない。
そう思って無視したまま廊下を突き進む。
流石に懲りたのか大人しく着いてくる彼に微笑みかければ、大して良くもない滑舌でやりたい事を掲げだした。
gr｢街に行って、たまにはゆっくりするのもいいだろう！ずっと城に篭もりっぱなしでは作業効率も…｣
『だめよ。先に残ってる仕事を終わらせてください？話はそれからよ。』
gr｢A〜…。｣
『ふふ、不満は後で聞くから。終わる頃には私の準備も終えておくわ。いってらっしゃい』
彼のネクタイを掴んで血色の悪い唇へと一瞬触れる。私のつけていたリップが付いてしまったけれど、血色も良くなっていいんじゃない？
gr｢…ｯ行ってくる。待ってろよ｣
幸せな日々。それは、彼と正式に結ばれたから来たのか、それとも私が一人で悩まずに彼らに頼ったからなのか。
きっと全部が幸せへの道を切り開いたのだろう。
私に逆らう人なんて、この世に存在しないの。
いたとしても、こう聞いてあげるわ。
『あら、何かご不満でも？』
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ちぇる(プロフ) - かなさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけて本当に嬉しいです。こちらこそ読んでいただきありがとうございました！ (2022年10月31日 18時) (
レス) id: f71e4746a6 (このIDを非表示/違反報告)
かな(プロフ) - 完結おめでとうございます〜！！悪役令嬢もので1、2位を争うくらい好きで、夢主ちゃんの性格も本当に好きでした！！楽しい時間、ありがとうございました！ (2022年10月31日 18時) (レス) @page47 id: 139b3f8cfd (このIDを非表示/違反報告)
ちぇる(プロフ) - あいかわさん» コメントありがとうございます！楽しんでいただけてよかったです！ (2022年10月31日 14時) (レス) id: f71e4746a6 (このIDを非表示/違反報告)
あいかわ(プロフ) - 完結おめでとうございます！最後まで楽しく拝読させていただきました。これからのご活動も陰ながら応援しております！ (2022年10月31日 12時) (レス) id: 339f3cd750 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇる(プロフ) - ゆるぽろうさん» ありがとうございます！ずっと悪役令嬢ものは書きたかったので、今回書けて良かったと思っています！ (2022年8月18日 8時) (レス) @page4 id: f71e4746a6 (このIDを非表示/違反報告)
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