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***
馬車に揺られて半ば眠り落ちそうになっていた時、漸く目的地に着いたらしかった。
隣にいる彼は文字通りぐっすり眠っているようで、私の方に凭れかかっている。重いから早く退いてほしい。
『グルッペン、着いたわよ。重いから早く退いて』
gr｢…｣
『寝たフリしてるの、分かってるんだからね。早くしないと振りほどくわよ』
gr｢…相変わらずつれんな。まぁ、そんなところもいいと思うが。今日は楽しもう、A。｣
切り替えて我先にと馬車から降りた彼は私に手を差し出す。
gr｢お手をどうぞ｣
『…あなたがわざわざしなくてもいいのに。』
gr｢したいからやってるだけだ。さぁ、早く行こう｣
普段なら絶対にここまでテンションが高くなる事もないはずなのに、うきうきしているのが丸分かりだ。…そんなに楽しみにしてくれていたのかしら。
彼にエスコートされて、足場の悪い砂場へと入る。
いつもよりもカジュアルなワンピースに身を包んで、いつもはカッチリとしたパンプスだけど脱ぎ着のしやすいサンダルを揃えて立てたパラソルの下に置き去りにする。
一面は真っ青だ。遠くの方まで続く青。
『…冷たい』
gr｢やはり、夏といえば海だろう！なぁ、諸君｣
tn｢いきなり貸切にしろは流石に無茶ぶりやぞ｣
ut｢トントンほんまにお疲れ…｣
彼のご友人たちも引き連れてやって来た、初めての海。潮風が頬を撫で、まとめた髪を揺らす。
そんな私の髪を撫で付けるグルッペンは、心底優しく慈愛に満ちた目で私を見つめる。
gr｢…本当に、君は美しいな｣
『褒めても何も出ないわよ』
gr｢美しい髪も、芯のある声もしなやかな体も、全部愛おしい。こんなにも人間を好きになるなんて思ってもいなかった。｣
sha｢おいおいおい俺らおる事忘れんでくれるか？Aを口説くなグルッペン｣
口説くなって言ったって、彼は婚約者なのだけれど。彼自身分かっている事だとは思うけれど、何だか彼らの撃ち合うボールが面白くてつい止めることを忘れてしまう。
ht｢A様、あまり外にいると体調を崩します。パラソルの下でお休みになってください｣
『えぇ、そうするわ。あなたも一緒に来てくれる？ひとらん。』
ht｢はい、勿論です。｣
砂浜で遊び始めた彼らを尻目に、声をかけてくれたラインハルトの名を授かったひとらんを捕まえパラソルの下で涼むことにした。
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ちぇる(プロフ) - かなさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけて本当に嬉しいです。こちらこそ読んでいただきありがとうございました！ (2022年10月31日 18時) (
レス) id: f71e4746a6 (このIDを非表示/違反報告)
かな(プロフ) - 完結おめでとうございます〜！！悪役令嬢もので1、2位を争うくらい好きで、夢主ちゃんの性格も本当に好きでした！！楽しい時間、ありがとうございました！ (2022年10月31日 18時) (レス) @page47 id: 139b3f8cfd (このIDを非表示/違反報告)
ちぇる(プロフ) - あいかわさん» コメントありがとうございます！楽しんでいただけてよかったです！ (2022年10月31日 14時) (レス) id: f71e4746a6 (このIDを非表示/違反報告)
あいかわ(プロフ) - 完結おめでとうございます！最後まで楽しく拝読させていただきました。これからのご活動も陰ながら応援しております！ (2022年10月31日 12時) (レス) id: 339f3cd750 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇる(プロフ) - ゆるぽろうさん» ありがとうございます！ずっと悪役令嬢ものは書きたかったので、今回書けて良かったと思っています！ (2022年8月18日 8時) (レス) @page4 id: f71e4746a6 (このIDを非表示/違反報告)
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