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***
gr視点
目が覚めればAがいた。
少し機嫌が悪そうな表情も、呆れながら俺に声をかける凛とした声も全部が好きだ。
寝惚けたふりをして彼女をベットへと引きずり込んだ。俺よりも小さくて、柔らかい彼女は抱き心地がいい。
俺が寝惚けたふりをしていたことに気づいたAは、厳しい声色で俺を突き放す。
俺は彼女に心酔している。きっと、嫌われてしまえば立ち直れないだろう。
王子という立場ではなく、ただ一人の男として俺の事を見てくれる彼女を手放してなるものか。
部屋を出て待っている彼女に早く会いたくてさっと着替える。彼女を呼べばいつもと同じように真っ直ぐな瞳で俺を見て、溜め息をついた。
『…はぁ、じっとしてて』
gr｢あ、あぁ。｣
もう三年目になるのに未だ上手く結べないネクタイを直すA。このやり取りだけ切り取れば夫婦に見えるだろうか。
いつ何時も彼女とのこれからを想像してしまう。
毎朝こうやって、呆れながらも俺の世話をする彼女はきっとずっと俺の隣で笑ってくれるだろう。
その未来しか想像しないのだが。
『はい、出来た。上手く結べもしないのに寝たふりなんて度胸あるわね。』
gr｢言い返す言葉もない…。だが、こうやってAに結んでもらえた。それだけで良い｣
『ほんと口が上手いんだから…。さあ、早く行きましょうよ。朝食を食べ損ねるわ』
その美しい髪を揺らして部屋を出ていく彼女を追いかける。
言葉がきついところがあるし、表情もあまり変わらないからよく怖がられると彼女は言うが、俺はそんな所も良いと思う。
俺以外に靡かれては堪らんからな。
『何ですか？私の顔に何か付いてます？』
gr｢いや？今日も美しいと思ってな｣
『…それ以上言ったら殴るわよ』
gr｢もう殴ってるじゃないか。そんなか弱い拳で殴られても痛くも痒くもないがな。｣
俺の言葉で照れているのか、いつもこうやって俺に冷たく当たるが愛情の裏返しだと分かってる。
しかし言い返したら拗ねてしまって口を聞いてくれなくなるから、そこそこにしておかなければ。
gr｢今日は二人揃って遅刻しよう。な？たまにはいいだろう？｣
『何言ってるんですかさっさと馬車を用意してください。』
俺の誘いを交わす女性は彼女以外にもいない。
彼女は俺のために、俺は彼女のために存在していると言っても過言ではないはずだ。
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ちぇる(プロフ) - かなさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけて本当に嬉しいです。こちらこそ読んでいただきありがとうございました！ (2022年10月31日 18時) (
レス) id: f71e4746a6 (このIDを非表示/違反報告)
かな(プロフ) - 完結おめでとうございます〜！！悪役令嬢もので1、2位を争うくらい好きで、夢主ちゃんの性格も本当に好きでした！！楽しい時間、ありがとうございました！ (2022年10月31日 18時) (レス) @page47 id: 139b3f8cfd (このIDを非表示/違反報告)
ちぇる(プロフ) - あいかわさん» コメントありがとうございます！楽しんでいただけてよかったです！ (2022年10月31日 14時) (レス) id: f71e4746a6 (このIDを非表示/違反報告)
あいかわ(プロフ) - 完結おめでとうございます！最後まで楽しく拝読させていただきました。これからのご活動も陰ながら応援しております！ (2022年10月31日 12時) (レス) id: 339f3cd750 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇる(プロフ) - ゆるぽろうさん» ありがとうございます！ずっと悪役令嬢ものは書きたかったので、今回書けて良かったと思っています！ (2022年8月18日 8時) (レス) @page4 id: f71e4746a6 (このIDを非表示/違反報告)
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