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いざ対面 ページ49

***


ただ彼に着いていくだけなのに、こんなにも落ち着かない。トントンさんも流石に同席してくれるとはいえ、組長さんの威圧感を直接受けることに変わりはない。

あぁ、もう着いてしまう。怖い。指先が冷えて、キュッと両手を握りしめる。

tn「…大丈夫か?顔色悪いで」
『大丈夫です。寒いだけなので…』
tn「そ、そうか。ほな、入るで。親父、連れてきた」
「おう、入れ」

襖の奥にいるであろう組長さんに声をかけ、私に一瞬だけ視線を向けたトントンさんは静かに戸を横に開いた。

「まぁ、そこ座れ」
tn「こっち()い、A」
『は、はい…』
「そんなに緊張すんなや。何もとって食ったりせん」

心底面白そうに声まで出して笑う組長さん。豪快な笑い方で、これから言われることがそこまで深刻な内容でないのかなと思える。少しだけ肩が軽くなった。

「それでだなぁ、A。お前に話さんといかん話がある。」
『はい』

隣にいるトントンさんは、どんな表情をしているのか。組長さんから言われる内容を知っているのか、知らないのか。それさえも分からない。

tn「はよ言うたってや。Aも不安になるやろ」
「そうだな。よし、単刀直入に言おう。A」
『は、はい』
「お前は、うちの娘になることになった」

む、すめ?娘?何が?どういう事だろう。私が、組長さんのところの娘に?養子ってこと?両親はどうしたんだろうか、もしかして何かに巻き込まれて…。

tn「A、大丈夫か?」
『と、トントンさん…。娘って』
「お前はうちのトントンの婚約者になったんだ」
『こ、婚約者…?トントンさんのですか』

婚約?私と、トントンさんが?何で?

「お前んとこの父親とは腐れ縁でな。俺が組を継いだ時に、右腕だったんだ。だが、まあ結婚するっつってカタギになっちまった」
『…父が、元々ヤクザだったって事ですか?』
「そういう事だな。話は聞いてないのか?」
『何も…。』

確かに、父は強面で身長も高くて子供に怖がられるような人だったけど。まさか、ヤクザだったなんて。

「んで、カタギになる時に条件付きで抜けさせてやったんだよ。お前んとこの子供が可愛い娘だったらうちの息子に嫁がせろよって」
『勝手に決めたんですか…?』
「半分冗談だったがな?だが、状況が変わった。」

一瞬にして場の空気が凍る。これがきっと、私がここに預けられた本当の理由なんだろう。

本当の理由→←・



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作者名:ちぇる | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年9月25日 16時

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