【d!】最低な祝福、キスを落として。 (ページ35)

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危機的状況？ページ35

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『…はい、えっと。何でしょうか』
｢田中さんだよね？｣

こういう事ってあるんだな。他人事のように考えて、目の前の状況をしっかり理解する。

講義終わりに話しかけられて、着いていったらこうだ。正直、何を言われるのか分からないし。気の強そうな人だなぁ。

｢あなた、毎日送り迎えしてもらってるらしいじゃん｣
『それが何か？』
｢毎回違う男の人だって聞くけど…。そういう事してるの？｣

失礼な人だな。そういう事？意味が分からない。まぁ、何も事情を知らない人に何を言ったって信じてもらえないだろうし。大きな問題にしたくないし、ここは穏便に済ませた方がいいだろう。

『あなたに関係ありますか？そういう事、というのも分かりませんね。一体何のことを言ってるんですか？』
｢…いや、別にあなたのことを責めたいんじゃなくて。その…。そんな事しなくても、お金に困ってるならと思って！｣

…思っていたこととは違ったらしい。どうやら、同じ講義をとっている彼女は私が毎日違う男性に送り迎えされているのを心配して声をかけてくれたらしい。

失礼なのは、私だったな。

｢ごめんなさい、嫌な気持ちになったよね｣
『いえ、心配ありがとうございます。でも、大丈夫なので。あなたの思ってるようなことはしてませんよ』
｢…なら、どうして毎日｣
『色々ありまして…。彼らは私のことを助けてくれたんです。深くは言えませんけど…』

こうやって大学の人と話すのは初めてだ。グループワークなどで話すことはあっても、事務的なことばかりだったし。

｢…何かあったら、いつでも声かけて。私も力になりたいの。だめかな｣
『ありがとう、ございます。こうやって親身になってくれる人初めてです』
｢ずっと、友達になりたくて。私夢香(ゆめか)。｣

危機的状況から、どうやら友人が出来たようです。