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重い空気の中、彼はからりと笑って答えた。
｢あぁ、その事だけどなぁ。お前には話さねぇといけないことがあってな。だが、そんなに重い話じゃねぇよ。だから安心して聞きな｣
『は、はい』
重い話では、ないのか。それでも気が抜けなくて、肩は上がったままだ。
｢聞いてびっくりすんなよ？｣
『びっくり…？はい、わかりました』
聞いてびっくりするな？組長さんに言われたら何を聞いてもびっくりするような気がするけど。
｢お前は、親に捨てられてなんかいねぇよ｣
『捨てられて、ない…？』
｢あぁ。捨てられてなんかいねぇ。ただちょっと、危ないかもしれないからって預かることになっただけだ｣
私は、売り飛ばされてなんかいなかった。そうじゃなきゃ、両親からここまで愛をもらって育ててもらえないだろうし。何か、私にも言えない理由があったのだろうか。
『あの、でも…。どうして』
｢んーそれはまだ言えねぇな。言ってどうする？お前にどうにか出来ると思ってんのか？｣
『そ、れは…。やってみなきゃ分からないじゃないですか。』
｢いいや。無理だな。たかが一般人のお前には無理だ。だが、A。お前の両親は無事だぞ。それだけ伝えてやる。｣
話は終わりだと部屋から追い出された。
両親は無事？じゃあ、私に直接的な危険が及ぶわけじゃなくて両親に危険が及ぶから逃がされたの…？
気になることはまだある。何故、ヤクザの家に預けられたのか。
両親は、この家と関わりがあったの？でも、そんな話聞いたことないし…。謎は深まるばかりだ。考えれば考えるほど難しくて答えに遠のいていくような気がする。
｢…大丈夫よ。ご両親のことは気にしない方がいいわ。｣
『はい…』
気にしないなんて、無理な話だ。
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