二度目まして ページ26
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講義の後、姉さんが作ったお昼を食べて約束通り夕飯の準備をしているといつもより真剣な色を帯びた声が聞こえる。
｢Aちゃん、作り終わったらあの人のところに行きましょうか。｣
『…？はい、分かりました』
あの人、と言うのは多分組長さんの事だろう。彼に会うのはずいぶん久しぶりな気がする。正直、初顔合わせがあれだったのもあって、怖い。
でもまぁ一人で行くわけではないし、大丈夫だと信じたい…。
｢よし、大体終わったし手を洗って行きましょうか｣
『はい。…あの、姉さん』
｢なに？どうかした？｣
『いえ、その…。何で組長さんのところに行くのかなって思って。』
｢あぁ、そうよね。大丈夫よ、何も怖がることないわ。あの人強面だけど私に弱いから｣
姉さんに弱いからと言って、私に対してそうではないのだから怖いものは怖い。ただ、流石に危ない話ではないと思うし。姉さんも知ってる内容だとしたら、尚更安心できることなのかもしれない。
｢ついてらっしゃい。場所、よく覚えてないでしょう？あの時は夜だったし。｣
『…はい』
足音をほとんど立てることなく綺麗な姿勢のまま前を歩く姉さんの背中をぼんやり眺めていれば、ふと足が止まる。見た覚えのある襖だ。
｢連れてきましたよ。入りますね｣
｢…おう。入って来い｣
『失礼します…』
相変わらずどこか威圧感のある人だ。怖いなぁ。
｢もう、やめてくださいよ。Aちゃん怖がってるでしょ？｣
｢あぁすまんな。｣
『いえ…。それで、あの…。話、というのは』
怖い。目の前に座る組長さんの視線が痛いほど刺さる。何を言われるんだろう。
今までの仕事は、ただの遊びでついに売り飛ばされたり…？
震える体を無理やり押さえつけて、彼の言葉を待つ。
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