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車が止まって、降りるように促される。ここで逆らったっていいの方向に進むわけがない。大人しく従った方が身のためだろう。
?「何や、大人しいな。」
?「さっきお前が怖がらせるからやろ。大丈夫やで、ちょっと話するだけやから」
ちょっと話をするだけで誘拐まがいの事をする人がいるか!いるわけないでしょ?
ゆっくりと車から降りて、そのまま視線を上げれば立派な日本家屋。気の札が掲げられ、そこには…。
『…え』
?「その反応やと、もしかして俺らのこと知ってる?」
?「それなら話は早い。行くぞ。」
?「…行くで」
最悪の事態だ。普通の家庭に、あんな木の札掲げられていない。一般女子大生である私が生涯関わる事なんてないと思っていたはずの組織。
一歩が重い。木の門が開かれて敷地内に入ればズラリと並んだ強面の人たち。息が詰まる。
?「あんま怖がらせんなよお前ら。こっちだ」
「すいやせん!兄貴!」
?「お〜お疲れ様〜」
…兄貴。多分、
引き戸を開ける前にドタドタと足音が聞こえた。次の瞬間、勢いよく開かれた。
?「おかえりなさい!あ、その子?言うてたのん」
?「おい、一応兄貴やねんぞタメ口きくな」
?「はぁい。すみません、シャオロンさん」
背の高い、水色の髪の男の人が茶髪に蜂蜜色の瞳をしたシャオロンさん?に叱られる。上下関係に厳しいらしい。
所謂、ヤクザの世界の兄弟制度という所だろうか。私もいまいち分からないし、多分そんな感じだろう。
sha「ま、上がりや。」
『は、はい…。お邪魔、します…』
遂に、足を踏み入れてしまった。
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