26.神の御加護 ページ28
***
gr視点
背中に感じる体温。
思い詰めているのか、何も話さない彼女を慰める方法はないのだろうか。
何とか、彼女を不安にさせないように話さないと。
gr｢五枚、か｣
『うん』
gr｢まずコネシマとロボロが乗るだろ？で、チーノがショッピに譲って、エーミールがゾムに譲る。そう考えると、一枚残るんだ｣
『なんで分かるの？』
gr｢ただの勘だ｣
もう何年も一緒にいるんだ。あいつらが考えることなんて、大体分かる。
トントンが、わざわざ俺に行かせたのも。
gr｢…で、最後はお前のだ。A｣
『え、なんで。ダメだよ、そんなの。グルッペンの方がいいよ。私、星と神様の話しかしないもん』
gr｢それは確かにな｣
『だから、つまらない人間なんだよ。聖歌隊にいた時だって、話しててもつまらないって言われてたし』
こいつは、自分のことを認めてやらない。
つまらなければ、こうやって話を聞いてやることもなかったはずなのに。
gr｢確かに、難しいし訳分からんことも多いけど。楽しそうに話してるの、俺は好きやぞ｣
『す、すき…？』
gr｢お前のおかげで星にも詳しくなったしな。あの星は、カイトス。星言葉は明日は貴方の元へと。あの星は、オリオーニス。星言葉は貴方を信じる。…そして、あの星がグルギニス。星言葉は神の御加護｣
散々聞かされていれば、嫌でも覚える。
あの三角形は、いつでも見えてずっと好きな星だと。
『グルッペン…』
gr｢俺の名前とよく似てるし、神の御加護とやらがあるのかもしれんな。お前らが宇宙船で向かう星は、月っていう星が見えるんだ｣
『グルッペン！やめてよ、』
gr｢ずっと応援してる。…約束、守れんくてごめん｣
『やめて！まだ行くなんて一言も…！』
小さく震える背中。
泣かせるつもりなんか、なかったんだ。俺や、トントンの命をかけてでもお前だけは生きていてほしかった。それだけなんだ。
gr｢A｣
彼女の方へ向き直る。ゆっくりと顔を上げたAの頭へ手を乗せて、しっかりと目を合わせた。
gr｢柄やないけど、俺特製の神の御加護。神を信じる者は、神によって救われるんだろ？きっと、大丈夫。俺が保証する。｣
『ぐるっぺん…』
gr｢おい、泣くな。ブスになるぞ。ほら、笑え｣
『い、いひゃいよ…』
最期なんだ。泣き顔なんて見せないでくれ。
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