【d!】落日を刻む (ページ24)

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22.流れた涙ページ24

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rbr視点

昔から、お前は心がないのかと言われていた。

唯一の肉親である母を病気で亡くしてから、親戚の家をたらい回しにされた俺は塞ぎ込んで気味悪がられるようになった。
喋らない、笑わない、食事も摂らない。

手に負えないと思った親戚の人間は、俺を孤児院(ここ)に預けた。

最初こそコイツらとの関わりなんて何の意味もないと思っていたけど、無理やり関わってくるアイツに俺の方が折れた。

“｢何しとん、こっち来いや！｣”

俺の手を引いた蜂蜜色の髪。
お前がおらんかったら多分、こうやって他人のことで悩むことも、笑うことも怒ることもなかった。

rbr｢…ん。これ、チケットな｣

sha｢はぁ？なんでやねん｣

rbr｢受け取れや。お前が乗ったらええ｣

sha｢お前さぁ、グルッペンに言われたこと忘れたんか？｣

我らがリーダーである、グルッペン。
突飛なこともするし、よくトントンに怒られてるけどそれでも何かあれば一番に行動してくれる。

そんな彼が言ったのは、｢誰も後悔をしないように｣というもの。

rbr｢後悔せんように、やろ？｣

sha｢つまりはさ、互いに納得して決めろってことやろ。俺は納得してへん。｣

rbr｢何で？俺が残る言うてんねんからそれでええやろ。｣

sha｢お前はなんも分かっとらん！｣

珍しく声を荒らげたシャオロン。
普段比較的温厚で、人を揶揄うことはあっても自分の感情をぶつけることなんてほとんどない。

sha｢そんなん、言わんでや｣

rbr｢シャオロン…？｣

sha｢おれは、…ｯ｣

rbr｢は、なんで泣いてんの｣

Aにも劣らないほど大きな瞳からボロボロととめどなく流れる涙。

sha｢俺は、お前に死んでほしない！｣

rbr｢ｯそんなん言うたら俺かて、お前に死んでほしないわ！やから譲る言うとんねん分かれや！｣

sha｢分かりたないわ！分かりたくもないわ…！｣

お互いに譲らず感情をぶつけ合って、シャオロンも俺も怒りのためか涙が止まらなかった。
胸ぐらを掴んで、自分の意見を通そうとしても喉が締まって上手く言葉を紡げない。

sha｢…頼むから、｣

弱々しく俺の胸を叩いたシャオロンは顔を伏せた。
俺やって、お前に生きててほしいのに。

また折れらなあかんの？ほんま、無理やりやな。

rbr｢…分かった。俺が乗るから、もう泣かんとこや。最期に、なるんやし｣

そう言えば、シャオロンも俺もまた涙が溢れた。

また、どっかで会おう。