【d!】落日を刻む (ページ15)

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13.珍しい客ページ15

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毎日毎日、同じようなニュースが流れ着実に近づいている“死”に怯えていた。
諦めるという道は、私には、私たちにはなかった。

最後まで絶対に諦めない。そう決めたから。

『…』

あの日から書き綴っている日記には、なんてことない日常が描かれている。
たった二週間分だけれど、どれも色濃いものばかりだ。

“嫌や！グロイから食べへん！”
“好き嫌いすんな！”

トマトが苦手でこっそり人のお皿に乗せたのに、普通に見つかって怒られていた夕食。

“クッキー食べたい…”
“そんなんやから太るんやで”
“気にしてるんやから言わんとって！”

あれから私の作るクッキーを気に入って、ことある事に頼んできた彼が揶揄われた勤務中。

どれも些細なことだけど、全部が全部素敵な思い出になっている。ここ数日間の話なのに、もう遠い記憶のように感じて。

ぼんやりと手元のノートを読み耽っていれば、扉をノックする音で意識が戻った。

『はい、どうぞ』

誰かも確認せずに、既に出てしまった言葉。
振り返った先にはよく隣にいる彼が立っていた。

『…珍しいね、どうしたの？』

唇を噛んで、何も言わないままの彼をベットに座らせる。静かに座った彼に、ホットミルクでも入れようと扉へと足を進めようとした。

小さく呟かれた言葉は、苦しそうだった。

『…』

sha｢…行かんとって｣

『わかった。ゆっくりでいいから、話してみな？』

sha｢うん、言葉詰まるかもやけど｣

話を聞くなら傍にいた方がいいだろう、という自分なりの考えで隣へと腰掛ける。