【d!】落日を刻む (ページ14)

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12.おかえりページ14

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いい香りが鼻腔を擽り、今か今かと彼らの帰りを待つ。少し焦げてしまったけれど、初めてにしては上出来だし味見もしたが美味しかった。

ci｢はよ帰ってこんかなぁ｣

『もうすぐだよ』

sha｢目の前に美味そうなもんあんのにお預けはキツいて〜…｣

tn｢Aはええけど、お前らも片付け手伝ってくれるか？｣

みんなに教えるため動いていた私は、トントンに止められて椅子に座らせてもらっている。
片付けくらいなんてことないのに、過保護な彼だ。私が危ないことをしないように目を光らせていた。

sha｢え〜？俺らも疲れたもん、な、チーノ｣

ci｢慣れへんことしたからなぁ｣

kn｢後片付けまでが料理ってAも言うとったやろ！意外と大変やねんって｣

em｢片付けをしてる間に皆さん帰ってきますよ｣

シッマとエミくんの説得もあり、二人は片付けを手伝い始めた。
それを微笑ましく見つめていれば、玄関の扉が開く音。五人は騒がしく片付けているから気づいていない様子。

そっと腰を上げて玄関に向かえば、随分ボロボロな彼らが立っていた。

『おかえり、どうしたの？そんなに汚れて』

gr｢あぁ、何もない。ちょっとな｣

ut｢疲れたよAちゃ〜ん…｣

rbr｢おいこら。先手洗うで｣

zm｢…何かめっちゃ甘い匂いする！｣

疲れて帰って来た彼らも、遅れてこの香りに気づいたらしく目を輝かせていた。

『んふ、先に手洗っておいで。用意しとくから』

そう伝えると、そそくさと洗面所へと向かう四人。
一人残った彼は何をするでもなく立ち尽くしたままだ。

『ショッピくん？』

shp｢…｣

『…おっ、何、甘えたな気分？お疲れ様。クッキー焼いたから。それ食べて元気だして？』

何も言わず私に凭れかかってきた彼を洗面所へ送り出して、入れ違いに出てきた彼らを談話室に向かわせた。
何があるのかとワクワクしている様子だったから、時間潰しにクッキーを焼いたことを伝えた。

『甘いもの、たまには必要でしょ？』

gr｢流石やA。｣

shp｢はよ食べましょ｣

嬉しそうにクッキーを頬張る彼らを見て、心が暖かくなった。