雲 ページ4
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彼女は、常に笑顔のイメージがあったから少し曇ったような表情をするのは初めて見た。
それでいても他の生徒とは比べ物にならないくらいに整った顔をしていて、見蕩れてしまう。
色素の薄い髪も、健康的な肌の色も、形のいい
すると、突然彼女がこちらに振り返りぱちっと音が鳴るように目が合う。
｢ぁ…｣
すぐに逸らすも、彼女にはバレバレのようで
｢そんなに見つめられたら流石に照れる、かな。｣
と頬を掻き、なんとも言えない空気が流れる。
でも俺は思い出す。彼女は、部活で学校に来ているのならこんなところで時間を潰していたら駄目なのでは。
｢ご、ごめん…。｣
｢ううん、大丈夫｣
｢あ、なぁ…。青木、さん、部活は大丈夫、なん？｣
｢あっ、そうやった！水筒取りに来たんやった｣
そう言って、彼女の席であろう窓際の一番前…。あ、荷物あったんや。気づかんかった。
｢鳥井くん、ありがとう。すっかり忘れてた｣
｢いや、別に…｣
｢あー…。まぁ、大丈夫でしょ！じゃ、そろそろ行くね。プリント頑張って！｣
時間だけ確認して、また彼女は足音を響かせて遠のいて行った。
扉の窓から見えた彼女はなんだか苦しそうで、あんなに走るのが楽しいというような人は中々見れない。それでも、走るのが苦しいのか、他の何かが苦しいのか俯き走っていくのを黙って見つめていた。
そして、彼女と入れ違いで担当教師が入ってくる。
｢あれ、青木さん…？なんで青木さんが…｣
｢…水筒、取りに来たらしいっすよ｣
なんて何か含みのある笑みを浮かべてこちらを見る。なんか勘違いしてるなこの人。
｢ち、ちゃいますよ…｣
｢まあいいわ。一日一教科の現代文、なんで点数とれなかったの？｣
｢…ゲーム、してました｣
｢あはは！だからあんなにふにゃふにゃの字だったのね。｣
｢はい…｣
｢まぁ、プリントなんてすぐ終わるわ。頑張るのよ？先生そろそろ部活行かなきゃいけないから、電気だけ消しといてね｣
それだけ言って、彼女もまた教室を後にした。
｢はぁー…ダルいな｣
一瞬、空の方に目をやるかふわふわと浮かぶ白い雲が光を反射して眩しかったためすぐに手元に視線を落とす。
はよプリント終わらせてあいつらんとこ行こ。
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