雲 ページ28
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未だ信じられないが、これが両思いというものなのか。こんな嬉しいことあってええん？
｢…じゃあ、私たち両思い、なのかな｣
｢そう、なるなぁ。｣
｢…嬉しい！｣
そう言って俺の手を振りほどいて胸に飛び込んでくる。うわぁ、好きな人が俺のこと好きやったとか一番青春しとるんとちゃう？
あ、まって俺汗くさくないか？大丈夫か？
近すぎる距離に心臓は働きっぱなしだ。そっと耳を寄せる彼女が笑った。
｢希くん、すごいドキドキしてる｣
｢…そりゃあ、好きな人がこんなに近かったら、するやろ…。あ、あと、汗くさくない？大丈夫そう？｣
｢えへ…。希くんの匂いがする。｣
何これめっちゃ恥ずいやん。え、これ抱きしめていいん？いや、でも…。
｢なぁ、希くん。抱きしめて、くれへんの？｣
｢はぁっ、え、ええんですか…？｣
ただ、頷くだけの彼女をそっと包み込む。
ずっと思っとったけど、めっちゃいい匂いする。女の子の匂いってこんな感じなん？やばいんやけど。
だが、まぁ。問題はまだあるしなぁ。
それを解決出来たら、その時は…。
そっと彼女から離れると、少しだけ名残惜しそうにこちらを見た。
｢俺らさ、両思い…やけど。まだ、根本的な問題は解決してないやん？｣
｢…うん。｣
｢…やから、Aさんが。次の大会で1位じゃなくても、2位でも3位でも結果出たらもう一回。俺から告白させてくれへんか？｣
｢…わかった。私、絶対1位とってみせる。だから、それまでは練習、付き合ってもらってもいい…？｣
｢もちろん。最後まで付き合ったるよ｣
夕暮れの公園で、思いの通じあった俺たちは夏休みが終わるまでずっと必死に走り込みをした。
その結果、彼女は陸上部に戻り本格的な練習を再開。
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