雲 ページ25
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映画の感想などを話していると注文したそれらが届く。一緒に頼んだ飲み物で喉を潤す。
｢めっちゃ美味そうやな…。よし、食うか！｣
｢うん！いただきます！｣
瞳をキラキラさせてパンケーキを頬張るAさん。女子って甘いもの好きなんやな。めっちゃ美味しそうに食べてて、それ見れただけで満足やわ。
｢ん〜！美味しい…！あれ、希くん食べへんの？｣
｢あぁ、食べるで。いただきます｣
ふんわりとしたシフォンケーキにフォークを通し、口に運ぶ。程よい甘さが広がって自然と口角が上がる。
｢うま…！めっちゃ美味いわ｣
｢ほんま…？え、一口貰ってもいい…？私のもあげるから！めっちゃ気になっててん｣
｢いいっすよ〜。…はい｣
お皿ごと彼女に渡そうとすると不思議そうに首を傾げる。え、何やろ。
｢希くん切らないの？｣
｢あ、いや。そんなんしたら…｣
間接キスになってしまう、と言いかけたがどうやら気づいていないらしいので大人しくフォークで切り分けて渡す。
｢あー、はい。ドウゾ…｣
｢…！美味しい！あ、待ってね…。はい！どうぞ｣
｢あ、え…｣
切ったパンケーキをフォークに刺してこちらに向けてくれたが、これこそ間接キスにならないか…？
困っていると、これまた気づいていないのかより一層近づけてくるので仕方なくそのまま貰った。
｢甘…けど、美味い｣
｢やでなぁ〜！めっちゃ美味しい｣
色んな意味で甘く感じてるけどな。
最後まで気づかなかったAさんに、ほんまそういうところやで…と思うも。別に嫌じゃないし、むしろめっちゃテンション上がってるからラッキー！程度に思ってる。
ゆっくりカフェで過ごしオレンジ色の光が差し込んできた頃、彼女から提案される。
｢ね、希くん。最後ちょっと付き合って欲しいところあるんやけど｣
｢？わかった。｣
｢よし、食べ終わってちょっと休憩もしたしそろそろ行こっか！｣
付き合って欲しいところ。現状では何も分からないが、とりあえず伝票を持ってレジに向かおう。
彼女はお財布を出そうとしていたが、楽しませてもらったお礼にと二人分の料金を払った。
すると、自分の分だけでも…！と食い下がろうとするので。
｢じゃあ、またそのうち出かけようや｣
とだけ言っておいた。もしかしなくても、デートのお誘いやねんけどな。よう言うた！俺！
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