雲 ページ24
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｢めっちゃ怖かった…｣
｢そうやな…。俺も怖かったわ｣
映画の内容は思い出したくないために伏せるが、まあまあやばかった。海外のホラー映画はびっくりするような効果音が多くて、まんまと驚いてしまう。
和製ホラーはじわじわと侵食してくる感じで、気づいたらいるみたいな、そんな怖さがあって苦手だ。
でも、怖い時にギュッと握られる手を見るとにやけてしまった。それはもう何回も。
あ、今怖いんやなぁとか思ってたら映画に全然集中出来んくてこっそりAさんの方を見つめていた。
眉をひそめて所々目を瞑ったりしている彼女は、可愛らしくて守ってあげたくなる。
｢付き合ってもらってごめんね、希くん…。でも、一人で見るの怖くて｣
｢いや、いいんすよ。全然。おもろかったし｣
｢あ、あと…。手、握ってもらっちゃって…。｣
｢あ、あぁ。いや、そんなん気にせんでええよ｣
恥ずかしそうにこちらを見上げるAさん。
いや、合法的に握れたから俺としてはありがとうやねんけどな？
昼からの上映で気づけばおやつ時。近くのカフェで涼むことにした。
｢わ、これ美味しそう…。希くん何にする？｣
｢んー…。俺、これにしよかな｣
｢ジェラート！いいね。私どうしよう…｣
｢焦らんでええよ。ゆっくり決め？｣
どうやら、シフォンケーキと期間限定のパンケーキで迷っているらしい。
それやったら、別にこうしたらええんちゃう？
呼び出しボタンを押すと、困惑した声が聞こえるが駆けつけてくれた店員に彼女が迷っていた二品を伝える。
｢え、希くん…？｣
｢迷ってたんやろ？それやったら、俺が片方頼めば一口ずつ交換なりしたらええやん｣
｢あ、ありがとう…。迷ってたのバレてたかぁ｣
えへへと笑う彼女も可愛い。
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