太陽 ページ10
…つまり、鳥井くんや天乃くんが協力していたご友人は捏島くんだったわけか。
正直なところ、彼ら二人が捏島くんと一緒にいる場面をよく見ていた。
『…鳥井くんや天乃くんが言ってた、私のことが好きな友だちって捏島くんのことだったんだね。』
｢まぁ、そうやな。…ややこいことしてすまんかった。｣
『いや、まぁ…。いきなり呼び出されたかと思えば、俺らの友だちが黒崎さんのこと好きでなって言われてびっくりしたけど』
｢…そりゃあ、多分Aは俺の事覚えてへんやろな思って。いきなり関わりなかったクラスメイトに告白されても困るやんか｣
いや、今も少し困ってはいるけれど。
それにシャオちゃんの時と同じように彼の望む答えを出せるかと言われれば、出せない。
私には、恋愛的に好きだという感情がよく分からない。今まで好きな人がいたこともないし。そもそも、男の子と関わることがなかったから。
…あぁ、花火も終わってしまった。辺りを照らしていた七色の光も散って辺りは暗闇に包まれる。
｢…正直、Aが俺の事よく思ってへんかったのも知ってたし。やから、少しでも好かれるようにしたかったねん。｣
『うん。もちろん、捏島くんと関わって最初に比べれば印象は良くなったし、素敵な人だなと思ってるよ。でも、私は君が望んでる答えは出せない』
第一、シャオちゃんを振ってしまっているし。捏島くんからは付き合ってと言われていない。
好きとだけ言われている。
もちろん、私が捏島くんを恋愛的に好きになる可能性はぜろではないし。それはシャオちゃんにも当てはまる。
｢…そうか。｣
『私は、恋愛的に人を好きになったことがないからよく分からないの。…それに、この前シャオちゃんにも告白されて断ったし。』
｢なら、まだチャンスはあるんやでな？｣
私がそう言うと、一歩近づいて私の両手を握る捏島くん。チャンスだと捉えているらしい。
｢シャオロンもどうせ諦めへんとか言うとんのやろ？それなら、俺らどっちかがAのこと惚れさせたらええわけや。あかん？｣
『え、うーん…。』
いいとも悪いとも言えない。返事なんて、それこそできない。可能性が無きにしも非ず、というだけなのだから。
｢ま、ええよ。俺、絶対Aに好きになってもらうから。｣
暗い中でも分かるくらいに眩しい笑顔を浮かべた捏島くんは、満足そうに私の手を引いて歩き出した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 165人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「d!」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
大阪在住の通行人 - ちぇるさん、物語を書く時はしっかり調べて確認した方がいいと思いますよ... 湿度が高い方が暑いんですよ、しかもやでな？ってなんですか？ やんな？とかよな？が大阪弁的には相応しいと思いますよ。 (2021年7月17日 15時) (
レス) id: a713fe40a0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
