月 ページ7
Aを背負って、彼女の下駄であろうそれに向かい歩く。
しかし、肩を申し訳程度に掴まれていて落ちてしまうのではないかと思うと、首に手を回してくれた方がいいのではと思った。
ただでさえ、彼女の体温が伝わってくるから平然を装っていても心臓はバクバクで。
首に手を回されるとさらに密着することになって気が気じゃない。
それでも、彼女の安全性を考えれば俺の煩悩なんて気にするわけにいかない。
｢黒崎さんが落ちそうになる方が俺、怖いから。掴まってくれ｣
『う、うん…。わかった』
そう言うと、彼女は恐る恐る手を回す。
その時に、彼女の…。胸、が当たって驚いてしまう。あー、落ち着け落ち着け。
彼女の体温をより感じてしまって、変な汗をかいてしまう。
あー、もうちょいやから。いけるぞ、俺。
恐らく、誰かが避けてくれたであろうそれの目の前まで来ると彼女を下ろす。
『ありがとう、捏島くん。これで歩けるよ』
｢いや、ちょっと待ち。靴擦れ痛いやろ。｣
『…うん。ちょっとだけ、痛いかな』
｢絆創膏とか持っとる？｣
『一応、お母さんに渡されたのがあるよ』
｢…貸してみ。貼ったるわ｣
『え、いいよ！自分で…』
｢上手いこと貼れるんか？｣
黙りこんだAは、静かに絆創膏を取り出すと俺に渡した。しゃがみこんで、彼女の足をとる。
不安定になったのか、俺の肩を手を置くもすぐに離した。
｢そのまま手置いときや。転けるで｣
『…うん。ごめ、ありがとう』
肩に重さが加わるけど、はよ貼ったったらええ話やしな。
痛々しく赤くなっている彼女の足に絆創膏を貼る。これで少しはマシになるだろう。
｢…ん。貼れたで。痛ない？｣
『あり、がとう。うん、大丈夫そう』
｢よいしょ、ほな行こ。次ははぐれんように、手繋いどこか。｣
『えっ、まっ、ちょっと…！』
有無を言わせずに彼女の手を引いて人混みに入る。もちろん、彼女が浴衣を着ていることを十分に理解してゆっくりとした足取りで。
花火が上がるまで、あと五分。
このまま行けば人混みを抜けるのは容易いだろう。
｢(…今日、言わんと)｣
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大阪在住の通行人 - ちぇるさん、物語を書く時はしっかり調べて確認した方がいいと思いますよ... 湿度が高い方が暑いんですよ、しかもやでな？ってなんですか？ やんな？とかよな？が大阪弁的には相応しいと思いますよ。 (2021年7月17日 15時) (
レス) id: a713fe40a0 (このIDを非表示/違反報告)
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