太陽 ページ5
あれから、数十分経って少しだけ人が減ったように感じる。恐らく、この道の向こうに着いた人たちが多くなったのだろう。
『…それでもまだ、繋がらない』
未だにメッセージを送ることも電話をかけることも出来ずに、道の隅で座り込んだままだ。
結局、下駄も片方を失くしたし、道はガタガタで裸足で歩くのはいい考えではない。
正直、不安だ。
捏島くんが、運良く私とはぐれたことに気づいてくれていればいいなぁなんて思うけれど。
現実は厳しくてシャオちゃんたちにも気づかれていないのだとすれば、私はいつまでここにいたらいいのだろうか。
花火だって、あともう少しで始まってしまう。
こんなはずじゃなかったのになぁ。
学生のうちに体験できるだけ、幸せだったんだろうなぁ。花火大会、本当に楽しみにしてたし。
それがこんな結果になってしまっては、本当に泣きなくなってしまう。
珍しくメイクだってしたのに、崩れちゃうなぁ。
『…早く、見つけてくれないかなぁ』
もう限界で目の前が滲みそうになった時、私の名前を呼ぶ声が耳に真っ直ぐ届いた。
｢おっ、た…！｣
『こね、しまくん…？』
｢はぁ…よかっ、たぁ…。A、怪我とかしてへんか？｣
『あ、うん…平気。それより…』
｢そうか…。あれ、下駄どうしたん片方。もしかして、脱げたからここに？｣
『…うん。躓いて、そのまま。』
｢…すまん！俺が先行ってもうたからやんな？一人にさせて、ごめん｣
『ううん。私も、ちゃんと言えばよかったよね』
捏島くんは悪くないのに、深々と頭を下げる。
私だって、足が痛いならそう言えば捏島くんだってこんなに汗をかくくらい走ってくることもなかった。
自分が、あまりにも周りに甘えていた事実を突きつけられて引っ込んだ涙が再び溢れだしそうになる。
｢…や、やっぱりどっか怪我しとるんちゃうん？｣
『ううん、違う。大丈夫だよ。気にしないで、捏島くん。探しに来てくれて、ありがとう…』
｢いや、俺が一緒におったのに不安にさせたんやし。それに、靴擦れ起こしとるやろ｣
…バレてたんだ。確かに、靴擦れを起こして歩くのも一苦労するだろう。しかし、ここにいても仕方がない。下駄は片方ないままだけど。
｢…ん。そのままやったら歩けんやろ｣
『い、いやいや！大丈夫だよ』
｢ええから。帰るにも帰れんやろ｣
『……お願いします』
大人しく、彼の背中に寄りかかる。急に体が浮いたために彼にしがみついてしまった。
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大阪在住の通行人 - ちぇるさん、物語を書く時はしっかり調べて確認した方がいいと思いますよ... 湿度が高い方が暑いんですよ、しかもやでな？ってなんですか？ やんな？とかよな？が大阪弁的には相応しいと思いますよ。 (2021年7月17日 15時) (
レス) id: a713fe40a0 (このIDを非表示/違反報告)
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