月 ページ4
気づいた時には遅かった。
漸く、彼女と話せると思い早く人混みを抜けようと急ぎ足で歩いていた。しかし、ふと後ろを振り返ると彼女がいない。
もしかしても、くそもない。完全にはぐれた。
浴衣に下駄の、歩きにくいであろうAを置いてきてしまった。もう随分歩いていてどこではぐれたのかも分からない。
電話をかけようと何度も彼女のトークを押してかけるが、人混みのせいで電波が通らずかからない。
これでは、あいつらにも連絡できない。
｢っ…はよ、探したらんと｣
エミさんに声をかける少し前から、彼女が少し歩きずらそうに足元を見ていたことに気づいたもののどう声をかければいいのかも分からずに時間だけが過ぎた。
きっと、慣れない下駄を履いて靴擦れを起こしているんじゃないだろうか。
それでは、尚更俺を探すどころかこの人混みの中を歩くことも出来ないだろう。早く、引き返さなければ。
しかし、こちらに流れてくる人の波を逆らうことは到底出来そうにない。
どうしたものかと、唸っているとポケットに入れたスマホが震える。
相手は…。
｢…シャオロン。なんや｣
｢おいお前、どこ行っとんねん。Aは？｣
｢それが、さっきはぐれてもうてん｣
｢はぁ？何しとんねんほんまに。あいつ浴衣やねんぞ？俺らみたいに動きやすい服やないんやからもっと気遣ったれよ。…ほんま、なにしとん｣
｢…そんなん俺が一番分かっとるわ。｣
｢あ、おい！｣
｢もしもし、コネシマさん。聞こえますか？｣
シャオロンと言い合っていると、恐らくずっと隣にいたのであろうエミさんの声が代わりに聞こえてくる。
｢…聞こえとる。｣
｢黒崎さんとはぐれたんですね？なら、はよ探してあげんと不安に思ってるはずです。私たちも探すのでコネシマさんも探してください。お願いしますね｣
｢あぁ。すまん、エミさん｣
｢…それでは。｣
｢おう｣
淡々とエミさんの提案を聞いて、人混みに逆らうか否かと考えていたくだらないものを切り捨てた。謝りも入れる暇すらなく人を掻き分けて来た道を戻る。
｢…待っとってくれ、A…！｣
何事もなく、無事でおってくれ。
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大阪在住の通行人 - ちぇるさん、物語を書く時はしっかり調べて確認した方がいいと思いますよ... 湿度が高い方が暑いんですよ、しかもやでな？ってなんですか？ やんな？とかよな？が大阪弁的には相応しいと思いますよ。 (2021年7月17日 15時) (
レス) id: a713fe40a0 (このIDを非表示/違反報告)
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