太陽 ページ11
あの花火大会から数日。元々彼に誘われていた予定が綺麗に決まったために集合場所に向かっている。
時間に遅れたくないため、三十分前に着くように歩みを進めていると見慣れた後ろ姿が。
『…あれ、捏島くん？』
まだ、三十分前なのに彼が立っていた。頻りに時間を気にしながらそわそわとしている。
時間には早いけれど、既に待たせてしまっているため急ぎ足でそちらに向かう。
｢え、A？まだ時間なってへんのに…｣
『早めに行っておこうと思って…。捏島くんこそ早いね。びっくりした』
｢いや、男が女待たせるんはあかんなぁ思ってな。…早いけど、行くか｣
『あぁ、うん。今日は一日よろしくね』
あれから彼は私のことを呼び捨てで呼ぶようになった。少し擽ったいように感じるけれど、昔は私も彼のことを
よく覚えていないけれど、捏島くんがそう言うしお母さんにも聞いてみたが同じことを返された。
夏だし外に行くのは暑くて危険、ということで映画か水族館の案が出た結果。彼と来たのは、水族館。
涼しい館内に入ると、外とは違って薄暗く青みがかった世界で魚たちが優雅に泳いでいる。
お互いに水族館に来るのは数年ぶりだったために、じっくり見て回る。
隣を歩く捏島くんは、正直かっこいいし。シンプルな服装が彼の容姿をさらに引き立てて行き交う人たちの視線は釘付けになっている。
彼に告白されたのは、未だに夢だったのではないかと思うけれど。それは夢ではなかった。
だって、水槽を眺めていたはずの彼が私を見ていて優しく微笑んでいるんだから。それに気づいて目が合うと、さらに優しく笑う。
恥ずかしくて目を逸らすと、今度は彼の角張った手が私の右手を握って嬉しそうに前を歩く。
｢A、はよ行こ｣
『あ、ちょっと…！』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 165人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「d!」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
大阪在住の通行人 - ちぇるさん、物語を書く時はしっかり調べて確認した方がいいと思いますよ... 湿度が高い方が暑いんですよ、しかもやでな？ってなんですか？ やんな？とかよな？が大阪弁的には相応しいと思いますよ。 (2021年7月17日 15時) (
レス) id: a713fe40a0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
