【d!】最低な祝福、キスで落として。 (ページ4)

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年越しページ4

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彼らによって運ばれたお蕎麦は、全員の目の前に置かれている。姉さんに言われた通り汁一滴も零すことなく丁寧に運ぶ様子は、宮殿に仕える召使いみたいだった。

｢じゃ、後はみんなで食べなさいね。私はあの人に持ってくわ。良いお年を｣
『はい。ありがとうございます。良いお年を』

姉さんはそのまま廊下に消えていった。
彼らはというと、待ちきれなかったのかもう箸をつけていた。改めて全員を見渡すと、とんでもない人数が居間に入ったんだな。
普段は会社の方で仕事をしている三人も、正月休みだとはしゃいでいた。

エーミールさんとしんぺい神さんには会ったことがあるが、もう一方には会ったことがない。
隣に座ってお蕎麦を啜っているトントンさんに、小声で尋ねることにした。

『あの、トントンさん』
tn｢ん、なに？どうしたん｣
『あの方が兄さんさん…ですよね？』
tn｢あー、そうか。帰ってこんから今回が初対面なんか。兄さん、Aが自己紹介してくれって｣

いやいや、こんな食事中にしなくても。そう思って彼の袖を引けば、机に膝をぶつけていた。
そんなに驚かなくてもいいのに。

tn｢A?!ちょ、やめえや人前で…！｣
『何言ってるんですか。食事中に自己紹介させろなんて言ってないです。すみません急に』
ni｢ええよ別に。俺は阿仁谷(あにや)紫輝(しき)。兄さんって呼ばれとる。よろしくな｣
『はい、よろしくお願いします』

これで漸く全員と顔合わせが終わったわけだ。
ヤクザだというのにここまでフレンドリーで、家族のことを思ってる人たちはきっと彼らしかいない。
偏見まみれだった私が恥ずかしい。

全員が食べ終わる頃、ふとグルッペンさんがテレビをつけた。

gr｢おぉ、カウントダウン始まっとるやん。もうそんな時間か。｣
ci｢何だかんだ色々あったなぁ今年。｣
zm｢A来たしなぁ。｣

今年あったことを口々にこぼしていく彼ら。その中に私も入っているらしい。
彼らにとって、私がどんな存在なのかは分からないけど本当に家族みたいに接してくれている。

tn｢俺も、Aと会えてよかったわ｣
『私も、みなさんのところに預けられて良かったと思ってますよ。』

年越しのカウントダウンがゼロになった。