白天使と黒天使 (ページ9)

今日:6 hit、昨日:0 hit、合計:21,075 hit

Flower 8 ページ9

さっきまで背を向けていたジョシュアさんは私の方を振り向いて

JS 「…遅いね。今日はもう来ないんじゃないかと思ったよ」

なぜか彼の部屋からは強い薔薇の香りがする

暗闇に隠れた花

私は部屋の電気をつけた

ポタッ…

あ「…ッ！」

衝撃のあまり口を手で覆ってしまう

彼の右手からは真っ赤な液体が流れ落ちていた

ジョシュアさんの部屋には沢山の薔薇の花が生けられている

JS 「Aを待つ間に少し世話してたけど全然来なくて…」

その時

彼は自ら傷ついたその右手でまた薔薇の花を触ったのである

何度も何度も
　
彼の手に刺さる薔薇の棘

再び流れ落ちる赤い液体

あ「…ジョシュアさん…もうやめて！！」

すると彼は動きを止めて真っ赤な自分の手を見つめる

JS 「…」

私は咄嗟に彼を止めるかのように後ろから抱きついた

すると一気に彼の力が抜けて

JS 「……ごめん」

私は近くにあった救急箱を取り出し

ベッドの端にジョシュアさんを腰掛けさせて手当てをする

その間彼はずっと何も言わずにただ私を見つめていた

手当てをし終えた後

私はしばらくジョシュアさんの包帯が巻かれた手をそっと握っていた

すると

JS 「Aは…今も僕のことジョシュアさんって言うんだね…」

泣きそうな大きな瞳で私を見つめる

あ「私は…何て呼んだら…」

知っているふりもできてない自分に嫌気がさした

JS 「…ジスくんって昔は呼んでたんだよ」

そう言うジョシュアさんに私は半信半疑でジスくんと呼んでみると

彼は凄く嬉しそうな顔をしておいでと私をベッドの方へと引き寄せた

彼の傷ついていない左手が私の頭の上に乗って優しくそっと撫でる

JS 「よしよし、可愛いね…」

気づいたら彼の腕枕に頭を乗せて包み込まれていた

でも何故か嫌な気はしなくて

ジョシュアさ…ジスくんの手から伝わる温もりが心地よくて暖かくて

いつの間に意識が薄くなっていた

そのとき

チュッ…

私の額に生暖かい感触が触れる

これがジスくんの唇と気づいくのにそこまで時間はかからなかった

そういえば初めて会ったときにもされたなと思いつつ

重い瞼を開けようとしたら

チュッ…

今度は唇に生暖かい感触がして

JS 「A…愛してるよ」

キスされていた

私は、

堕天使に堕ちてしまうのだろうか。