白鳥沢の姉御マネージャー！⑥ (ページ23)

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待ちぼうけページ23

『……ただいま』

誰にともなく呟いてみた。寮の玄関は真っ暗。まぁそうだろうな。だって今夜中の1時だし。

でも、ここは私の家だから。ただいまくらいは言わないとなって。

怒涛の2日間だった気がする。まさか雲雀田監督に呼ばれるとは思わなかったし、女子代表チームの監督に会えるとも思ってなかった。

『話すこといっぱいだな……』

あいつらも強化合宿で頑張ってんだろうなぁ……若利とか獅音とかは大学でも練習してるって言ってたし。

「おかえり」

『！』

「ユースどうだった？」

『……楽しかったよ』

「そっか」

談話室には淡い光が溶けていた。どうやらそいつのスマホの光らしい。

『こんな時間まで起きてて大丈夫なのか？』

「ダイジョーブ。死にはしないよ」

『死ななきゃいいって話じゃなくて』

「……蓮が帰ってくるって思ったら……寝らんなくなった」

適当に流し読みしてたであろう記事が映し出されたスマホを消し、暗闇で立ち上がった。

体が、大きく細い体に包まれる。

「寂しかったから、充電させて」

『……ちゃんと留守番できたな。偉い偉い』

「子供じゃねーよ」

『私にとっちゃ弟みたいなもんだ』

大胆不敵なようで小心者だったりする。だから私が慰めてあげなければならない。友達一号とはそういう関係だ。

「あっちで変なことされなかった？」

『……』

「ねぇ」

『されてないよ。大丈夫』

「……うん」

やっぱり違う。侑と。慣れてしまったのもあるんだろうが、根本的な何かが違うんだな。

『まったく、暖房も付けないでこんな時間に……お前体温低いんだから暖かくしろよ』

「はーい」

『もう寝るぞ』

「……もうちょい」

『……』

明らかに冷たい手を、私は握ってやった。自分の体温を分け与えるように。

「おかえり」

『……ただいま、覚』