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【81】救う者 ページ31

センラ side




「なぁなぁ、センラくん」

「何ですか?」

「ピースくんってどんな子?」


その声に導かれ、みんなが自分を見る。

どんな子…


そう考えたときに浮かぶのは
笑顔、声、仕草。

それは新しい景色を発見して、
心が高揚する様な感覚。


「どんな子…不思議な子、ですかね」


一番に口を開いたのはまふくんやった。
きっと、彼の持つ“何か”を手にする人はこの先現れないだろう。

あの子の様になることすらできない。
それほどに彼は



「近い様で、遠い子、ですね」

「ほぉ…」



みなさんはそれを聞くと眼差しが変わった。
何んしろ、ライバルだから。

パッと現れ、パッと花火のように輝いた彼をみんなが気にするのは当たり前で。

歌声もミックスも、誰かに教えてもらったにしろ、上手すぎる。

すぐに散ってしまう花火のはずなのに
彼の勢いは止むこと無く降り続いている。

みんなが、放っておくわけがなかった。


「半信半疑でした」


柔らかく、安心する声。
そらるさんの声は、男から見てもそんな声だ。

でもその声は誰が聞いてもわかるほどに
切なく、少し震えていた。




「神様が見方なんじゃないかってほど、才能にも恵まれていてそんな子が存在しているんだって。そして初めて会った時に思ったんです。きっとこいつは僕を超えて行くんじゃないかって」



「でも、」とそらるさんが言葉を紡ごうとした時、
廊下から足音が響く。そして扉が開くとそこには怪訝そうな顔をしたAが立っていた。




『やめてください、』



いつもは、怒らないであろうピースの剣幕は
凄いものだった。




『あなた方を超える?



そらるさんいい加減にしてください。』




そらるさんの目を見つめたAはしっかりとした声で言った。



『貴方達の作る音楽に救われたんです、自分の作った音楽では自分は救えません!!』


『僕はあなた達を超えるために音楽を始めたんじゃない。』




『誰かを救う歌を歌いたいから始めたんです』




そういうとAは我に返った様な顔になり「突然声を荒らげてしまいすみません。ピースです。よろしくお願いします」と頭を下げた。


「いや。これはそらるさんが悪いよ」

「そうだ。僕が悪い…ごめん」


その時、黙っていたまふくんがクスクスと笑い出す。



「ほんとAくんらしいよ。そしてそらるさん。弱音を吐くなんて先輩としてどうなんです」


珍しく怒られるそらるさんの姿に
みんなが笑った。

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雨音(プロフ) - 柊さん» ありがとうございます!がんばります!! (2020年2月22日 22時) (レス) id: 36e1edc774 (このIDを非表示/違反報告)
- とっても面白いです!応援してます! (2020年2月22日 19時) (レス) id: 6c7d5f5114 (このIDを非表示/違反報告)
雨音(プロフ) - らんさん» 運命ですね。 (2020年2月9日 21時) (レス) id: 36e1edc774 (このIDを非表示/違反報告)
らん - 私の学校に 加藤 晴也 って名前の人いる! (2020年2月9日 18時) (レス) id: 665c5b97f1 (このIDを非表示/違反報告)
雨音(プロフ) - 蒔さん» ご拝読ありがとうございます!頑張ります!! (2020年1月21日 14時) (レス) id: 36e1edc774 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雨音 x他1人 | 作成日時:2019年12月27日 16時

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