スターチス〜永遠に変わらない心〜２【伏見猿比古】

＊STORY53 ページ18

＊STORY53






A「はぁ…はぁ…っ、伏見さん…どこかな…？」



傘持ってないし、走ってきたからもう雨に濡れてビショビショだ。


でも、伏見さんに会いたい
こんな格好でも伏見さんとの話題になったらいい
そんなことを考えていた。



ほんと、伏見さんどこだろう？
ここら辺にいるはずなんだけど…


あ！いた！
あ、そうだよね、愛華さんも一緒だよね…
私はそう思いながらも伏見さんのところへ駆け出していた。



A「伏見さーー……ん……」



その時、周りの音が一瞬にして消えた。
そしてすぐに雨の音だけが大きく聞こえてきた。
私が見たその光景が本物なのかわからなくて、そして受けいえられなくて、私はその場から逃げ出した。



えっと、私は何をしに行ったんだっけ？
伏見さんに会いたくて伏見さんに会いに行って…
私はそこで何を見たんだっけ？
愛華さんが伏見さんの前にて、向き合っててそれで…



それで…



伏見さんと愛華さんが……




_________キスしてた________





私は無我夢中に走った。
受け入れたくない現実から逃げたくて。
でも逃げきれない現実は私に迫ってくるばかり。
私が見たあの瞬間だけが何度も何度もフラッシュバックする。


その時、端末がなった。秋山さんからだ。
私の帰りが遅いからかけてくれたのだろう。
私はその電話にでて「すぐに戻れないです。すみません」とだけ伝えて切った。


私はその場から動けなくなっていた。
あれだけ走ったのに、もうその足は動こうとしない。



ただひたすらに、雨は降り続けるだけだった。

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