司帝国には眼鏡がないらしい (ページ46)

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第46話ページ46

助けられたクロムはその後牢屋に連れていかれた。
牢屋と言っても、洞窟に竹の檻をつけたものだろうけど。

私はもう一度司たちとあった洞窟に連れてこられた。
周りの人達の反応から司と氷月、それに羽京は1目置かれているらしい。強さを持つものに惹かれるということなのか。

司と氷月が私の前に立つ。羽京は見張りの仕事をしにどこかへ行ってしまった。

2人から放たれる威圧感に、周りにいる人達は息もしずらい様だった。

その沈黙を破ったのは、司だった。

「久しぶりだね、A。」

「……。」

「…お喋りは嫌かい？」

私はゆっくりと顔を上げて長く息を吸って吐いた。

「ガールズトークは大好きだよぉ。ただ、尋問は好きじゃない。」

私は不敵に笑って司を見た。

「さっさと要件済ませなよ、オウサマ。裏切り者にはどんな罰を？」

「うん、そうだね。まずは…」

・

「あ゛ぁ゛～～……」

私は視界不良のまましゃがみ込んで駄々をこねる様に声を上げた。

「見えない…。」

そう、眼鏡を壊された。司はそっと私から眼鏡をはずすと片手で握りつぶした。ガラスの破片で怪我してないといいけど。そして監視をつけられた。その監視役は氷月だ。ちなみに縄の拘束はほどかれた。

「Aクン」

「クロムは無事かなぁ。にしても眼鏡無いと不便すぎぃ…」

「…いい加減離してください。振り払いますよ。」

私は前を歩いていた氷月のマントにがっしり両手でしがみついたまましゃがんでいたため、氷月も前に進めずにいた。私はつい目を細めて出来るだけピントを合わせようとする。んー、見えない。氷月の大きなため息だけが聞こえて表情は確認できない。

「相当目が悪いんですね。」

「うぅん。そう。足元おぼつかないのよ。」

「早く立ってください。」

「スーパードライか。」

はいはい分かりましたよ。立って歩きゃいいんでしょ。よっこいしょと言って私は立ち上がった。目が悪くても運動神経は良いほうだから別に歩行に困ることはない。ただ細かい作業が困難なだけで生きてはいけるのだが。

人の表情を見れないのはコミュニケーションをとるうえですごく不便だ。