司帝国には眼鏡がないらしい (ページ34)

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第34話ページ34

鍛錬の休憩中に村を歩いていると震えながら電線の作業を行うスイカたち子供組+なとり･あるみの姿があった。私は鍛錬用の槍で肩をトントンと叩く。そしてラボに向かって歩き出した。

「千空先生～」

「あ？どうした」

「ストーブって作れる？確か今から大量の石炭の燃えカスが必要でしょ。」

私は外で作業する子供組を顎ででくいっと指した。

「一石二鳥。」

「だな、作るか。」

「？？また何か作んのか？」

「とりあえずクロムは素材集めに連れてっても？」

「あぁ、頼んだぜ。」

頭にハテナいっぱいのクロムの腕を掴んで「さ、張り切っていくよ～。」と村の外まで引っ張っていくと、パワーチームも合流。私たちは深い雪をかき分けて木材を採取。各々自分が持っていける限界まで素材を集めて村に帰った。それを何往復かして日が暮れてきた時にようやく作業終了。

コハクと一緒に夕食を済ませて、やることもないし早めに寝ようかなと思っていると、まだ作業していると思わしき家があった。中の光に誘われるように暖簾を上げるとそこにはゲン君とルリがいた。

「うわ、まだ作業してたの」

「マンガン電池800個作れって言われちゃってさぁ。ドイヒーだよ。」

泣き言を吐くゲン君の横で、ルリが眠そうに作業をしていた。

「ルリ、眠いなら交代するよ。」

「え！？い、いえ！大丈夫です！」

「…いいから。体壊したらいけないでしょ。女の子なんだから、無理しないで。」

「っ！お、おやすみなさい！」

「あ、え！？ルリ！？」

私から逃げるように飛び出していったルリは今までに見た時がないぐらい俊敏な動きだった。私は後頭部に手を置いて困ったように声を漏らした。

「えぇ？私なんかしたぁ？」

「はは、逆に無自覚？Aちゃんって男よりもイケメンなときあるよ。」

「ただ気遣っただけじゃん。あ、これ説明書？」

私は床に置いてあった説明書を手に取って読んだ。ほー、なるほど。作る工程は簡単だ。だた問題は作る量だね。頭おかしくなるわ。それから黙々と作業をしていると、ゲンが私を窺うように視線を上げて、

「千空ちゃんと何かあった？」

と聞いてきた。私は顔を上げて作業していた手を止めた。

「あはは」

「いいや、笑ってごまかさないでよ。」

「プライバシー。黙秘権。」

「…ま、無理に聞く気はないんだけどね。ちょっと気になっちゃって。」

「ふーん。」

興味無さげにそう返すともう何も聞いてこなかった。