司帝国には眼鏡がないらしい (ページ26)

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第26話ページ26

少し眠くなって大きな欠伸をすると初日の出を見てきた人たちが戻ってきた。ようやく門番交代かぁ。早く寝たい。そう思いながらみんなが村に入るのを待っていると、スイカが走ってきて下腹部に突撃してきた。

「Aー！」

「ぐっ…！？す、スイカ、突進はやめて…」

「Aのおかげで問題が解決したんだよ！！」

「………ん？」

ぞろぞろと他の人たちもやってきて、みんな晴れ晴れとした顔をしていた。一人を除いて。千空はニヤニヤと悪どい顔をして私の頭を強めにぐりぐりと抑えた。

「やってくれたなぁ、センパイ。」

「え、えぇ？なんかやらかしました？私。」

視線を上にあげて千空を見上げる。

「この鉱石は？」

「いやぁ、私もそれが分からなくて。」

「さっきなぁ、この石に太陽光を当てたら青白く光ったんだよ。」

「！？えっ、は、え！？じゃ、じゃあ…」

「あぁ゛、これは正体不明なんかじゃねぇ。タングステンそのものだ！」

千空によくやったと髪が乱れるほどに頭を撫でられる。おいおい、私センパイな？恥ずかしくなって目線を逸らす。でも、千空が本当に喜んでいることだけは分かった。数時間前まで落ち込んでいたのが嘘みたいだ。

千空とクロムから、なぜ気づいたのかと質問をされ、私の小さい時の思い出を話すと二人は納得して、もう一度私のことを目いっぱい褒めた。私は恥ずかしくて二人から離れると、ゲン君と出会った。

「あれれ？照れてるの？」

「ゲンお兄さん、その煽り方うざいからやめて。」

「あはは、ごめーん。」

年下から頭撫でられるってすごい経験だよね。と余計にマウントを取られて私は顔を赤くした。超恥ずかしい。いいことしたはずなのに何で恥をかかなくちゃいけないのか。

「Aちゃん。」

「ん？」

ゲン君の方を見ると、優しく頭を撫でられた。

「ちょ、何何。恥ずいんだけど。」

そう言うと頭上から小さな笑い声が聞こえた。

「頑張ったね。」

「っ！」

「たまには年上らしい事もしないとさ。」

「は、はぁ～？何言ってんの突然。」

私は恥ずかしくて顔を上げる事もできなかった。ゲン君がその様子を満足そうな笑顔で見ているなんて知らずに。