司帝国には眼鏡がないらしい (ページ24)

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第24話ページ24

クロムの熱量はあっても必要なものがないなら仕方ない。まぁ、本音はただ行きたいだけだろうけど。

「ククク、まぁ銅とかモリモリ欲しいっちゃ欲しいがな。次の鬼レベル工作でどんだけ消費してもおかしくねぇ｣

「！じゃあ銅だな！まかせろォォ！」

「とっとと戻れよ。来週の年越しくらいまでにはな！」

そう言ってクロムを見送れば、科学チームはその鬼レベル工作に取り掛かる。今度は一体何を？とワクワクするカセキの爺ちゃんとは裏腹に微妙に緊張するゲン君。私は科学チームではないため軽く他人事だ。

「コンピュータの卵を作る！電子のギア、真空管だ…！」

「なるほどねぇ。」

嫌そうな顔をするゲン君の肩に手を置いてにこやかに笑った。

「ファイト！」

「ねぇ、なんで他人事？Aちゃんも手伝ってよ～！」

「私はコハクの代わりに金狼と銀狼に稽古つけないといけないんで。」

「たまに見に来るから～」と手を振って村の方に逃げると後ろからゲン君の私を引き留める声が聞こえた。例にもれず無視だが。

・

あれから数日後。コハクから真空管づくりが滞っているという事を聞き、私は現場に赴いた。相当切羽詰まっているらしく、千空の表情今まで以上に暗い。

｢た、竹でダメならもっと強い材料がいるのだな！？｣

｢何がいる！？採ってくんぜ、探検隊長が…！｣

｢無えんだよ。この時代じゃ、そんなもんは｣

クロムとコハクの質問にも無理だという千空。私は重い空気を感じて、両手を腰に当てた。そして少し考えて顔を上げる。

「よしっ、じゃあクロムがとってきた素材を確認してみない？もしかしたら今までなかった素材があるかもしれないじゃん？」

「お、おう！たくさん取って来たからもしかするかもしんねぇ！」

「ならば村で手の空いている者を集めてくる！」

私はにこやかに走り出すコハクに手を振って見送った。そこから私たちは村人全員を呼び、鉱石漁りを始めた。もちろん私も手伝った。鉱石かぁ。今思えば懐かしい。小さいころ、父に連れられて洞窟の中を探検したことがあった。資源を持ち帰って観察し、研究させられたっけ。

一つ一つ何の資源なのかを確認していくと、一つだけ正体不明の鉱物に出会った。