司帝国には眼鏡がないらしい (ページ20)

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第20話ページ20

何を作るのかと思えば、出来上がったのは動力を生むためのギアだった。そして、そのギアを回すための歯車として、コクヨウがコハクに贈ったらしい盾を容赦なく歯車に変え、わたあめ機へと付ければ、ムラのない細い糸が出来上がる。

これなら楽チン！と燥ぐ銀狼に、クロムが何かを閃くと、カセキを引っ張って森の奥へと走って行った。

その語、残った人は千空の説明を聞き各々作業に励む。

「じゃあ、私はスイカたちと金の糸づくりでもしようかな。科学チームに混ざっても力になれそうにないし。」

「あぁ゛？何惚けたこと言ってんだ。テメェの親父は…」

「あーあー何も聞こえなーい。スイカーいこっかぁ。」

「え？え？大丈夫なんだよ？」

「ゲンお兄さんがいるから大丈夫よ。」

「ちょっとAちゃんー？全部押し付けちゃう感じ？」

私はスイカの手を引いて村の老人たちと子供たちを集めて作業に取り掛かった。

Aがいなくなった後、ゲンは千空の言葉の続きが気になった。

「あー…、Aちゃんのお父さんって…？」

「製薬会社の社長。」

「え、え！？じゃあAちゃんって社長令嬢！？」

「プラス、剣道じゃ名の通った家らしいぜ。道場継げって煩いって愚痴ってたもんなぁ。親が研究者だったせいか、それなりの科学の知識はある。こっち手伝ってくれるとありがたかったんだが、ゲンがいるし大丈夫だろ。」

「ひー！それってかなりハードル高すぎじゃない！？」

泣き言をいうゲンの事なんて知らずに、Aは黙々と作業に打ち込んでいた。

「Aちゃんは手先が器用ねぇ。」

「あはは、ども。」

小さな子供、優しい老人。こんなに温かい世界があっていいのか。あの帝国とは正反対に違う環境に私の心が沁みた。

・

夜

本拠地の梯子を上って上の様子を見るとゲン君と千空が設計図を広げたまま寝ていた。よっと。お疲れ様だね。私は設計図に視線を移す。ふむふむ、分からん。初見で理解できるほどの頭は持っていない。私は3回ほど読み直して理解した。そして本拠地を出る前にちゃちゃっと書き足す。