司帝国には眼鏡がないらしい (ページ19)

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第19話ページ19

村の人たちは甘味なんて食べた時ないせいかとても感動していた。雲みたいな食べ物は村の人々を大層虜にした。

「ほら。」

「ん？…あ、ありがとう。」

千空から綿あめを受け取り久しぶりに食べた甘い食べ物は口の中で一瞬で溶けた。私は抑えようにも自然と口角が上がって笑顔になった。村のみんなも自然と笑顔になる。やっぱり食べ物の力は偉大だ。

そして…

「……おいゲン、ほむらっつうのはどういうタイプの女かわかるか」

千空のその質問に、銀狼や恋バナ好きな村の女の子たちがああいう子がタイプなのかと尋ねれば、クロムとコハクがそういう話じゃないと思う。と冷めた口調で言っていた。この短期間で千空のことをよくわかってらっしゃる。

「監視されてんだよ、俺ら全員。あのほむらっつう女にな」

「だろうね～～氷月ちゃんが信用してんのあの子だけだから」

大きな動きがあればソッコー分かるくらいの距離にいる、と言う千空に、冬備えで全員の逃亡は難しいというコクヨウ。まあ逃げる気などないだろうけども。

「ほむらちゃんは氷月様超絶リスペクトだから、監視！って言われたら絶対守るタイプだね。だからほっといても悪さはしないけど、裏切らせるとかもさすがにリームーかな～」

何をするのかと思えば、彼は大きめのわたがしを1つ作り、金狼銀狼を率いてどこかへ行ってしまった。帰ってきた後、話を聞くとほむらに綿あめをあげてきたのだという。千空は戦略的意味を含めた理由を述べていたが、ルリは千空を見てただ単純に女の子に甘いお菓子を上げたかっただけじゃないかと言った。確かにそれは、そうなのかも。

翌日

「綿あめのムラ…？」

千空から解説を受け、この綿あめにムラがある=金の糸もムラができる(らしい)。だが、わたあめ機を回すのは人力でやっているため、どうしても回転力が落ちる瞬間にムラができてしまうのだ。兄弟の絆的な何かで上手くやれないかと言うコハクの提案は即却下。

紐を長くする、グルグル手で回すなど…色々な案が出たが、冬備えもしなければならないため、科学要因にそこまでの人は割けないらしい。

「ククク、な～ら作るっきゃねえな。ちーと手間だが、スゴ腕職人カセキ様がいりゃいけんだろ！」