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「海くん！」
海「Aちゃん、おはよ」
「おはよう、」
海「今日稜雅は？」
「なんか寝坊したみたい。置いてきた」
海「あはは、かわいそ」
「遅くまでゲームしてたんだよ」
海「バカだなー、自業自得だ」
あれから、だいぶ海くんと話せるようになって。緊張しないで話せるようにもなった。
海くんが私の名前を呼んでくれるだけでドキドキして。こっちを見て笑ってくれて、たまに目が合って。そうすると胸が締め付けられる。
それだけで、満足してた。
でも。
「海？」
海「ああ、おはよ」
「その子は？」
海「前話したAちゃんだよ。稜雅の友達の」
「ああ、稜雅くんの！初めまして。麻由って言います」
「あ、初めまして…」
海くんの彼女さんを目の前にして。彼氏である海くんが知らない他の女の子と仲良くしてても嫉妬の色なんて全く見せず、むしろ笑顔で挨拶してくれる麻由さんを見て、なんだかどうしようもない虚無感に襲われる。
麻「海ほんと稜雅くん好きよね」
海「逆だって」
麻「はいはい」
海「こら流すな」
麻由さんは私のことなんか敵とも思ってない。それはちゃんと、海くんと絶対的に信頼し合ってるから。
そう思うと、惨めで、負けた気がして。
悔しい。
壊してしまいたい。
ねえ、早く。
早くこの二人を壊して。
海くんを私のものにして。
そんな風に、思ってしまった。
太「………ええよ。代わりに何をくれるん？」
きっとこの瞬間から、全部おかしくなってしまった。
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作者名：な な . | 作成日時：2019年2月25日 23時
