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「びっくりさせてごめんなあ、さっき助けてもらった猫やで！」
そんな、あの時助けていただいた鶴です。みたいに言われても。
彼は私の手を取って、体を支えて立たせてくれた。…でかい。稜雅より大きい？
「助けた猫…ああ……」
「んふふ、パニックになっとるな？」
「うん…うーん？」
「まあええか、僕はさっきの猫。名前はタカシやで！」
「猫なのに関西弁…」
なんだか突っ込みどころがありすぎるけど、人間ってびっくりしすぎると逆に冷静になるんだなとも思う。猫が人間に、ってなんかどこかで…？と少ない脳みそをフル回転させて色々考えていると、タカシ、と言った彼はまた話し始めた。
太「助けていただいたお礼に、お姉さんのお願い叶えたるで！」
「ほお」
太「満足いくまでなんでも叶えるで！」
「はあ」
太「あ、でもタダではないんやなぁ」
「…何？」
太「その願いに見合った対価が必要やねん。例えば人を殺してほしいんやったら自分の命、とか」
可愛い顔で恐ろしい事を言うな。そんなきゅるきゅるした瞳で言うことじゃないんだけど。
太「対価さえあればなんでも聞いてあげるで！」
「へえ…」
太「もぉ〜信じてへんやろ！」
「うん」
太「んじゃあ〜特別やで、今ならタダで１つ叶えるで！」
えっへん、という感じ。なんかすごい楽しそうなんですけど…。
タダならまあ、言うだけ言っても。
「今日のバイト、休みにしてほしい」
そう言うと彼は八重歯を見せて笑って、ぐるり、ぐるり。人差し指を立てて何度か宙に円を描いた。するとそこに白い光が一瞬見えて、また消えて。
その様子をぼーっと眺めていると、ポケットの中のスマホが震えた。
「…もしもし、」
『あ、Aちゃん？今日やっぱり大丈夫になった！元のシフト通り休みでいいから』
「……わ、わかりました………失礼します、」
電話を切って彼の顔を見ると得意げに笑ってる。……本当に、彼の力？
太「信じてくれたー？」
「………ほんとに？あなたのおかげ？」
太「願いを叶えたかったらいつでも行くから、いつでも呼んでな？」
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作者名：な な . | 作成日時：2019年2月25日 23時
