【学パロ】幼馴染が美少女すぎる件。【2j3j】 (ページ34)

今日:105 hit、昨日:8 hit、合計:93,407 hit

21 ページ34

夕暮れに染まる空。波打ち際。
目の前には、夕日より赤い瞳の彼がいる。

葛葉「あー…っと、ちょっと歩かねえ？」

『…うん、いいよ』

誰もいない砂浜を2人並んで歩く。
浮き輪は邪魔になるし、置いていくことにした。

葛葉「…あのさ」

『ん、何？』

葛葉「水着、似合ってる」

『…あ、ありがとう…』

そうは言うものの、彼はこちらを見ない。
ただ、いつにも増して優しい声に、不覚にもときめいてしまった。

『いつもバイトで着てるからさ、皆みたいな特別感はないけど…そう言ってもらえて嬉しい』

そう告げた途端、彼の眉間に皺が寄る。

葛葉「その格好でバイトは危ねえだろ」

『危なくないよ？上から海の家のTシャツ着るし』

葛葉「…なら良いけど」

何が良いんだろう、なんて思うけど、口からは出なかった。

それからは無言で歩いた。
漣の音と砂を踏み締める音だけが響く。
…それが心地良かった。

不意に彼が立ち止まり、目が合った。

葛葉「…言いたいことあんだけど」

いつになく真剣に告げる彼の瞳には、確かな熱が籠っている。
それはあの日、私じゃない誰かに向けられたあの視線に良く似ていた。

『…えっと、今じゃなきゃ、だめ？』

…何を自惚れていたんだろう。
彼が好きなのは彼女だって、分かっていたはずなのに。

葛葉「…なんで。いいから聞けって」

彼の視線に耐え切れず、顔を伏せてしまう。

『わ、私、戻らなきゃ。頼まれてることあったんだった』

嫌だ。聞きたくない。
このまま逃げてしまいたい。

そう思った瞬間、腕を強く引かれた。
抱き締められたと理解するより早く、彼が口を開く。

葛葉「…好きだ、A」

『え……？』

驚いて顔を上げると、熱を湛えたまま、それでいて愛しさを孕んだ瞳が私を見下ろしていた。

葛葉「んだよその間抜けヅラ。好きだっつってんの」

彼のいたずらな笑みで、ようやく言葉の意味を理解できた。

『え、葛葉が、私を…？』

私の頬に熱が集まっていく。
その様子を彼は満足そうに見つめていた。

葛葉「おう。…何回言わせんだよ」

『だ、だって！…葛葉みたいにかっこいい人が、私のこと好きとか…信じられないよ』

つい口から出た本音を後悔してももう遅い。
揶揄われるに決まってる…！と思った私は両手で顔を覆った。

葛葉「…お前、かっこいいとか思ってたのかよ」

その言葉に、指の隙間からちらりと盗み見ると…耳の先まで赤く染まった彼と目が合った。