21.ヒーローの背中 ページ21
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ミンホが彼女の背中を押し、走れと言った瞬間。
Aの中では、その「走れ」という言葉が、「逃げろ」という言葉には変換されなかった。
では、何に変換されたと思う?
その答えはーーー
「ッッ!!ミンホッ!!!」
今日で、何度彼の名前を叫んだだろう。
声がそろそろ掠れてきた。
彼女は今、壁に張り付いたつるを掴み、壁の上まで登った所だった。
ミンホは、彼女を見るなり、これは夢か?と思う反面、彼女の事がますます分からなくなってきたと思っていた。
(いや、そんな事今考えている場合じゃないだろ!!)
真正面をばっと見たミンホは、顔を青くした。
グリーバーが、彼女をしっかりと凝視していたのだ。
「おい、A!!!早く逃げろっ!!何やってんだ!!!!」
「ミンホッ!!伏せてっっ!!!」
「はぁ?」
彼女は、ミンホに伏せるように言うと同時に、壁の上から飛び降りた。
よく見ると、彼女の右手にはミンホが持っていた筈のナイフがある。
いつのまにとミンホは思うが、彼女が飛び降りるとまた同時に、グリーバーが彼女に襲いかかろうとするのを見てさらに顔を青くした。
「っ!!??」
「っっっ!!!!!!!」
ナイフはグリーバーの頭に刺さり、そのまま地面へ落ちていった。
ドドーーーッンッッッ!!!!!
ミンホは、放心状態にあった。
目を見開き、じっと同じ場所を見つめる。
音が鎮まると、はっとして恐る恐る片足を引きずらせ、ひっくり返ったグリーバーに近づいた。
「……。」
彼女が無事なのか、それだけを考え、ミンホはゆっくりとグリーバーを見た。
するとーーー
「っ!A!!」
倒れた彼女を見つけると、すぐに息があるかを確認した。
(…息はあるみたいだ。)
ほっとしつつ、彼女の目が開かない事が気になり、ミンホはAの頬をペチペチと叩いた。
「…A?」
「……んー。」
「………。」
ゴンッ!!
「いっっった!!?」
本当、こいつには付き合いきれない。
まだ、夢を見てる気分だ。
まあ、けど、
「…何笑ってんのよ。」
その不器用な笑い方には慣れてきたよ。
「…ふっ、正気じゃない。」
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未確認生物(プロフ) - あの、メイズランナー大好きです。私も書きたいと思ってます! (2021年1月19日 21時) (レス) id: 1ab2c3b0b2 (このIDを非表示/違反報告)
めろん - はい!頑張ってください!待ってます! (2019年6月20日 17時) (レス) id: 5764f95332 (このIDを非表示/違反報告)
おわに(プロフ) - ありがとうございます!更新は遅めですが、これからもよろしくお願いします!! (2019年6月17日 22時) (レス) id: 418a4a3702 (このIDを非表示/違反報告)
めろん - 更新楽しみにしてます! (2019年6月17日 22時) (レス) id: 5764f95332 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おわに | 作成日時:2019年5月13日 2時