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序章 ページ2

いつもは真っ直ぐ進む帰り道を、今日は左に曲がってみた。

理由はない。強いて言えば何となく、だ。

てくてく歩きながら、今日の晩ご飯は何を食べようか、昨日のもやし炒めが残っているから炒飯でも作ろうかな、なんて考える。

ああ、味噌汁ものみたいなあ、まだインスタントの袋残っていたっけ……と思いながら、ふと側に横たわる川に目をやると、川のほとりに踞る人影があった。

え、どうしたんだろう。具合でも悪いのかな?

少し心配になって、急ぎ足でその人影に近寄った。
近付くにつれて、1つ分かったことがある。

……この人、濡れてる……?

不思議に思いながら、わたしは少し膝を屈めて声をかけた。

「大丈夫ですか……?」

わたしの声に反応して、その人は顔を上げた。

綺麗な男の人だ。

数秒見つめ合い、次に発する言葉に迷っていると、彼は見開いたダークブラウンの瞳から1粒涙を落とし、呟いた。

「死にたい」

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作者名:麻貴 | 作成日時:2017年5月25日 22時

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