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車の中は意外と静かだった。

でも嫌な沈黙じゃなくて。話している時は意外と自然体で楽しめたし、こんな静寂も心地良いとすら感じる。

初対面なのに不思議だ、と思いつつ、この人の独特の雰囲気がそうさせてるのかもなって考えた。


「…ユンギさん、」

YG「…はい?」


落ち着く声が俺を呼んだ。
今までと色の違う声。静かで少し重いような、寂しそうな、
…そんな声だった。


「私、もうすぐ日本に帰るの」


彼女の声が静かな車内に響く。


YG「…どうしてですか?」


気になってちら、と横目で伺ったAさんの横顔が…なんとなく引っ掛かって。尋ねずにはいられなかった。

Aさんは少し黙ってから、何か言いかけてもう一度口を閉じた。


「…彼と、結婚して…韓国で生活するつもりだったけど」




…名前を、言いかけたのか。
ソンヒョンさんの名前を




「叶わなくなっちゃったから……」


左手の薬指はやっぱりそういう意味だった。

俺は黙ってしまった。昼間にジョングガの病室で見た彼女の泣き顔を思い出したから。


「卒業したらもう…実家に帰ろうかなって。」

ははは、と乾いた笑みを零す彼女はどこか痛々しくて。返す言葉が見つからない自分自身に、嫌気が差しそうだった。


YG「…大変、でしたよね」


絞り出した言葉がこれだ。





「うん…」


震えて弱々しく聞こえた声に、俺ははっとした。


YG「…!Aさ……」


横目で見た助手席の彼女は、ぽろぽろと涙を零していて。


「ごめ、…なんでもない、の」


両手で涙を拭って必死に泣き止もうとする姿に、ぎゅうっと胸が苦しかった。俺はそんな彼女を前に、何も言えなかった。


「Aさん、……」


「ジョングクくんには、言わないで……お願い…っ」




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Laurent(プロフ) - ぐぅにむさん» ありがとうございます。最近はずっと家に籠ってますのでコロナは心配ご無用です!笑お気遣いありがとうございますふふ。 (2020年4月25日 5時) (レス) id: 1f1ed7af51 (このIDを非表示/違反報告)
ぐぅにむ - 大丈夫です!ってかもちろんです!是非とも最後まで読ませていただきたいです!ですがコロナとかもありますので、体には十分気をつけて、ろーらんさんのペースで投稿してくださいね?笑応援してます! (2020年4月24日 18時) (レス) id: 6734aceaf1 (このIDを非表示/違反報告)
Laurent(プロフ) - ぐぅにむ推ーarmyーさん» うわああ嬉しすぎます!!;_;そんなに言っていただけるなんて私はなんて幸せ者なんでしょうか;_;本当にいつもありがとうございます……完結まで頑張りますのでどうか最後までお付き合い下さい! (2020年4月23日 0時) (レス) id: 1f1ed7af51 (このIDを非表示/違反報告)
ぐぅにむ推ーarmyー - 完結が楽しみです!楽しみっ!って感じです。(どーいう感じよ笑)Laurentさんの作品全てが面白くって好きです!他の作品の感想の方にも顔出させてもらいまーす!誘メイをきっかけに占ツクを頻繁に利用するようになりました!誘メイに出会えて良かったです。応援してます (2020年4月23日 0時) (レス) id: 6734aceaf1 (このIDを非表示/違反報告)
ぐぅにむ推ーarmyー - こんばんはー!誘メイから見させてもらってるぐぅにむです!新作って出てたので気になって見て見たら、こちらもまぁなんとも号泣必須でぇぇぇ!(うるさい)私が脆いだけなんですかね?こっちも良かったです!これからも見させていただきます!頑張ってください (2020年4月22日 23時) (レス) id: 6734aceaf1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Laurent | 作成日時:2020年2月6日 22時

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