愛と引き換えに【JK】

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すっかり暗い外。ジョングクくんが眠って静まり返る病室で、私は一人ぼうっと窓の外を眺めた。

この時間帯、ついこの間までまだ明るかったのに、季節が巡るのは早い。今じゃ長袖一枚は寒いし、賑やかなハロウィンも終わって次に待つイベントはクリスマス…

気が早いなぁ、なんて思いつつ木々に飾られたイルミネーションをぼんやり見ていた。


こう黄昏ていると、二人の出会いを思い出してしまう。

たまたま韓国に旅行に来ていた時。まだ高校生で、迷子になって冷静さを欠きパニックだった私を優しくリードしてくれたのがそこで出会ったソンヒョンで。
当時まだ拙かった私の韓国語と、英単語だけで構成された会話はとてもじゃないけど成り立っていなかったと思う。それでも、私は彼に助けられた。

まさか恋仲に発展して、彼を追いかけて韓国の大学に進学するなんて…当時の私は思ってもいなかっただろうな。

あの時の、バカで無鉄砲な私のおかげで、彼との今までがあったんだ。



今年のクリスマスは…一人で過ごさなきゃ



「、…」

やっぱり一人になると無意識に考えてしまうソンヒョンのこと。切り替えるって決めたのに…引きずったまま。

彼のことは、いい思い出として残しておこう。

悲しみも寂しさも、全部忘れなくちゃ


これ以上考えないように。
荷物を纏めて立ち上がったとき＿＿＿＿＿



YG「…あー、こんにちは…？」

「ひゃっ！？」


もうめちゃくちゃ驚いてつい大きい声を出してしまった私。恥ずかしい。あまりにも自分の声が大きいから、それにもびっくりして慌てて自分の口を塞いだ。

YG「す、すみません。驚かせるつもりは…」

「いえっ…とんでもないです。こちらこそすみません」

起こしてしまっていないか、ジョングクくんの様子を横目に伺いつつ軽く頭を下げてそう詫びる。そしてふと視線を上げて交わる視線。そこに立っている人は、なんとも言えない雰囲気を纏っていた。

白い肌が特徴的な男の人…形の整った唇や切れ長の垂れ目は中性的であどけなく見えるのに、目付きはどこか奥ゆかしく大人っぽくて。

さらさらで少し色の抜けた黒髪…白い肌が更に透き通って見える。


YG「初めまして。こいつと一緒にアイドルやってる者です」

会釈程度に浅く下げられた頭。


彼は、ジョングクくんから話に聞いていた“ユンギヒョン”だった。




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