誘拐されてメイドになれと言われた【JN】６ (ページ24)

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JN side

「おっと…！」

「わ、…」

ゆらりとふらついたAの体を支えそっと抱き締めると、Aは焦った顔を緩ませて安心したように笑った。

「ありがとう。」

「ううん、…疲れたね。ちょっと休む？」

「…まだ！」

そう言って僕から離れ、また歩き出す彼女。

Aがリハビリを初めてもうすぐ一ヶ月。最初こそ立つのもままならなかったAだけど、今はだいぶ動けるようになった。ゆっくり、慎重に歩くくらいならやってのけられるから、今は早く歩けるように練習している。

でも今日は調子が悪いみたいだ。にこっと僕に笑顔を見せて、まだやりたい、なんて言うけれど…転けそうになる度表情が曇っていくのに気が付いてた。

「っ、はぁ………あっ！」

「A！」

…危なかった。危機一髪。倒れ込む直前に受け止めて強く引き寄せる。

小さくごめん、と呟くA。額に滲む汗と、疲れた表情を隠しきれない弱々しい笑顔が、なぜだか僕の胸の内を抉って。

「無理しすぎだよ。今日はやめよう？」
「……っ」

前髪を退けて滲んだ汗を拭ってやると、Aは悲しそうに眉を下げながら、静かに頷いた。

「ごめん、私たち一ヶ月なのに…今日も丸一日リハビリ付き合わせて、」

Aが言うように、僕らの仲は今日で一ヶ月だったりする。

「謝んないでよ？ほら、そんな顔しない。」

「…どこにも行けなくてごめんね」

「……もー。」

今にも泣きそうなAの頭を優しく撫でる。髪に指を通しながら、彼女の小さな唇にそっとキスをした。

「僕が連れ出すから。」

そう囁いて、ちゅうっと再び唇に吸い付いて。ゆっくり口を離すと、僕はAの体を抱き上げて車椅子に座らせた。

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